令和4年11月【学校長の部屋】鴻池小
異学年交流会
令和4年11月29日(火曜)
本校では、1年生と6年生、2年生と4年生、3年生と5年生がペアを組んだ縦割り活動を行っています。日常的に行っている活動には、6年生の子どもたちが1年生の教室掃除を手伝う活動などがあります。6年生が1年生の手本となり、ほうきの使い方を教えたり、雑巾がけを一緒に行ったり、とても微笑ましい光景です。1年生の子どもたちが優しいお兄さんやお姉さんを慕い、6年生の子どもたちもまんざらでもないいい顔で掃除を手伝っています。その他、教科の学習の中でも積極的に交流が図られています。生活科の学習では2年生が1年生の子どもたちに学校を紹介する「がっこうたんけん」や3年生の国語科「はんで意見をまとめよう」の学習では、1年生にお薦めの1冊を紹介する活動、6年生の総合的な学習の時間では、「平和」をテーマに下学年に伝える活動など、幅広い教科で異学年交流学習も行っています。
11月7日から始まった特別活動の時間に行われた6年生と1年生の異学年交流会。4月からずっと見守り、手助けしてくれている6年生のことが、1年生はとっても大好きです。6年生は、1年生と絆を深めて明るく楽しい異学年交流にしようをテーマに、準備を進めてきました。射的やボーリング、輪投げ、ストラックアウトなど、手作りゲームで1年生を迎えていました。さすが6年生、1年生が楽しめるように丁寧に説明したり応援したり、1年生が安心して楽しめるように声かけをしていました。6年生の行動は、細かく指導されたものではなく1年生のためになるにはどうすれば良いかを自主的に考えて行われたものです。1年生の目線に合わせて話をしたり、遊んであげたりしていた姿が印象的でした。この「異学年交流」を通して育まれる「人と関わる喜び」は、教師が与えるものではなく、児童自らが獲得していくものです。6年生が主体的に取り組む協働的な活動等を通して、「1年生が喜んでくれた」「1年生に認められた」など、他者の役に立っているという自己有用感を育むことができたと思います。他者との関係があってこそ生まれる自己有用感、そういった場を教師は意図的につくり出していくことが大切です。6年生は最高学年という自覚を持ち、しっかりと1年生と交流を通して、お互いに親睦を深めることができました。
2年生「九九検定」

令和4年11月14日(月曜)
2年生の子どもたちは、業間休みの時間に体育館で九九検定を行っています。誰もが小学校2年生の時に必死になって覚えた九九。私も同じです。お風呂に入りながら一生懸命に九九を唱えて、言えたらお風呂から上がろうと苦労して、のぼせてしまった経験も。でも、せっかく覚えたのに先生の前に行くと覚えた九九を、緊張して途中でつまずいてアウト、といった経験を何度も。なんとか合格して、先生から「がんばったね」とほめてもらうのがうれしくて、何度も何度も失敗しては、先生のところに通ったものです。今の2年生の子どもたちも家で一生懸命に覚えていることでしょう。今日から始まった九九検定、保護者の方の協力を得て行うことができました。また、2年生の他の先生や6年生の子どもたちも協力してくれました。6年生の子どもたちが2年生の子に対して優しく接する態度がまた素晴らしかったです。ちょっと緊張した面持ちで、一生懸命に九九を唱えています。まずは、あいさつをしてから始めます。そして、「目指せ!九九の宝石箱」(九九検定カード)を出して「五の段の上がりをやります」と、暗唱してきたことを10秒以内で言えたら合格です。合格したところにシールを貼ってもらいます。レベル1は、「2,3,4,5の段の上がり」です。くじで引いた2つの段、例えば「3の段」と、「5の段」を言えたらレベル1はクリアです。レベル2は「6,7,8,9の段の上がり」、レベル3は「2,3,4,5の下がり」と、レベル6のランダムまであります。全部をクリアして「宝石箱」を目指します。どの子もあきらめることなく「宝石箱」をめざして頑張っていました。九九は2年生でしっかりマスターしておかないと、3年生で学習のつまずきの原因になります。お家でも一生懸命に頑張っていることでしょう。完璧に覚えるには個人差がありますが、この2年生の内にしっかり覚えてしまいましょう。
今日は「ココアの日」
令和4年11月7日(月曜)
今日は、雲一つない快晴の空の下、ひんやりと澄み切った朝の冷気の中、子どもたちは寒そうに登校してきました。今日は暦の上では、冬になる「立冬」です。「立冬」とは一年を24に分けた「二十四節気」の19番目に当たる季節のことで、その意味は「冬の気配を感じる日」だそうです。暦の上では、この日より冬となります。冬の始まりとはいえ、11月の初旬、紅葉もまだまだですが、この頃から木々の葉が落ち、風も冷たくなり、朝晩の冷え込みなどからも、冬の気配が感じられるようになります。
立冬の日は、また「ココアの日」とも言われています。「ココア」は、11月上旬から飲む人が増えるそうです。そこで冬のはじまりといわれる「立冬」が、ココアの日の日付になりました。そういえば、私も寒い季節になると急にココアが飲みたくなりますね。温かいココアで身体を温めて、ホッする時間を過ごします。ところで、日本で最初にココアを飲んだのは、15代徳川慶喜の弟の水戸藩主「徳川昭武」だと言われています。1867年にパリで開催された万国博覧会に日本代表として赴いたときに、フランスのホテルでココアを飲んだとされています。また、日本のお菓子メーカーが1919年(大正8年)に日本で初めてカカオ豆からの一貫ライン製造による飲用ココアを発売したのが日本でのココアの始まりです。同社のココアの美味しさをより多くの人に味わってもらうことを目的に2016年(平成28年)に一般社団法人・日本記念日協会により「ココアの日」が認定・登録されました。
「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」の俳句で有名な正岡子規もココアを好んで飲んだといわれています。ココアを菓子パンと一緒に、毎日のように間食としてとるほど好きだったそうです。
自己肯定感を考える
令和4年11月2日(水曜)
本校では、「他者や集団との関わり」の中で育まれると考えられる「自己有用感」に着目し、学級力向上事業や異学年交流などの取り組みを進めています。自己有用感を味わわせることを通して、自尊感情(自己肯定感)を育みたいと考えた取り組みです。もちろん、「自己有用感」は、他人の役に立った、他人に喜んでもらえたなど、相手の存在なしには生まれてこない点で、「自尊感情」や「自己肯定感」等の語とは異なります。しかし、「自己有用感」の獲得が自尊感情(自己肯定感)の獲得につながることは間違いありません。自分自身が他者の役に立つ存在だと認める自己有用感を持つことにより、自分自身を大切な存在だと思うことができれば、自分の幸せはもちろん、他者の幸せをも願うことができる心豊かな人になることができるでしょう。自己有用感に裏づけされた自尊感情(自己肯定感)です。そのことを踏まえて、自尊感情(自己肯定感)について考えてみましょう。
1965年にローゼンバーグによって発表された自尊感情尺度。これは、自己肯定感をチェックできる最も一般的な方法として有名です。このローゼンバーグの自尊感情尺度は、たった10項目の質問に答えるだけで、今の自己肯定感状態をチェックすることができます。1から10の質問に対して、「強くそう思う」、「そう思う」、「そう思わない」、「強くそう思わない」の4つの選択肢から一つを選びます。
1 私は、自分自身にだいたい満足している。
2 時々、自分はまったくダメだと思うことがある。
3 私には、けっこう長所があると感じている。
4 私は、他のたいはんの人と同じくらいに物事がこなせる。
5 私には誇れるものがたいしてないと感じている。
6 時々、自分は役に立たないと強く感じることがある。
7 自分は少なくとも他の人と同じくらい価値のある人間だと感じる。
8 自分のことをもう少し尊敬できたらいいと思う。
9 よく、私は落ちこぼれだと思ってしまう。
10 私は、自分のことを前向きに考えている。
質問項目1,3,4,7,10は、「強くそう思う」=4点、「そう思う」=3点、「そう思わない」=2点、「強くそう思わない」=1点で点数化。また、質問項目2, 5, 6, 8, 9については、 「強くそう思う」=1点、「そう思う」=2点、「そう思わない」=3点、「強くそう思わない」=4点と点数化します。全ての得点を足し合わせると、10から40の数値が得られます。日本人の平均が25程度で、21~29であれば自己肯定感の中間ゾーン、20以下は、低めゾーン、30以上は高いゾーンになります。いかがでしたか。実際には、自己肯定感といってもさまざまな定義があります。ここで紹介をしたのは「Rosenberg Self-Esteem Scale」といって、社会心理学者のローゼンバーグが考案したものです。「Self-Esteem」、「自尊心」、「自尊感情」(自己肯定感)を測る指標です。「あっなるほどその通り」と感じる人もあれば、自分の思っている実感とは違うなと感じる人もあると思います。自己肯定感の定義にはいろいろとあります。星友啓さんは、著書「全米トップ校が教える自己肯定感の育て方」(朝日新聞出版)の中で、求めるべき自己肯定感は至ってシンプルで「現実の自分をありがたく思う気持ち」と自己肯定感について述べています。この自己肯定感の定義には、心理学のコンセプト、自己受容(self-acceptance)と自己価値(self-worth)が組み合わされているとされています。自己受容とは、ポジティブな自分もネガティブな自分もありのまま受け入れる力のことです。一方、自己価値とは、ポジティブな自分もネガティブな自分も自己受容した上で、現実の自分を「ありがたく」思う気持ちで、仕事でとちってへこんでも、明日からがんばろうと、すぐに立ち直れる強い自分のメンタルをありがたいと思うことができる気持ちのことです。
しかし私たちは、何か上手くいかないことがあったときには、どうしてもネガティブになるものです。「仕事で失敗をした」「友だちと喧嘩をした」と、大なり小なり、何かの出来事でそのことをくよくよ考えたり、ネガティブになったり感じたりします。アメリカのバスケットボール界の神様と言われたマイケル・ジョーダン選手は「今までに9,000回のショットミスをして、300ゲーム負けた。ウイニングショットは26回外した。人生で何度も何でも失敗を繰り返してきた。だから成功した」と、このように何か出来事が起きて、どう感じるかは、捉え方次第と言えます。星さんは、著書の中で「ABCDEモデル」を使って上手く、マイナスに考えがちな自分と向き合っていくことで、求めるべき自己肯定感を手に入れましょうといわれています。A(Activating Event):「自分がネガティブに考えた出来事は何か」。C(Consequence):「その結果に関して、自分はどう感じたか」。B(Belife):「Cを感じた自分の心構えは」。D(Dispute):「Bに本当に根拠があるのか。B以外のポジティブな考え方はあるのか」。E(Effect):「Dの結果をどう感じるか。どのような気持ちの変化があったのか」と。ネガティブになっているなと感じたら、これらABCDEを意識的にふり返ってみることだといわれています。決して自分のネガティブな気持ちを無理矢理忘れようとしたり、押さえ込もうとしたりするものではありません。上手くつきあう方法を見つけないといけません。
更新日:2022年11月29日