令和4年8月【学校長の部屋】鴻池小

更新日:2022年08月29日

2学期始業式講話より

令和4年8月29日(月曜)

  昨日まで静かだった鴻池小学校に皆さんの爽やかな笑顔と明るい声と元気な姿が戻ってきました。

  今年の夏休みは、3年ぶりに行動制限のない夏休みとなり、旅行やキャンプ、久しぶりに田舎に帰ったという人など、多かったようです。決してコロナウイルス感染症がなくなったわけではありません。引き続き、手洗いなど感染しないための対策をとりましょう。

  1学期の終業式に、「一日一善」、人のためになることを一日一つやるという話をしました。「大きな声で近所の人にあいさつする」とか、「お家の手伝いを頑張った」、「電車やバスに乗ったら、お年寄りに席を譲る」、「近所や公園にゴミが落ちていたら拾う」など、世のため、人のためになることを一日に一つ頑張った人がいました。それ以外に「夏休みにめあてを決めて頑張れた人」や「本を5冊以上読んだ人」「けがや病気をせず元気に過ごせた人」「夏休みは楽しかったという人」など、たくさんの子どもの笑顔を見ることができました。

  夏休み中は、いろいろなことで活躍をした人がたくさんいました。昨日も、24時間テレビでEXITの兼近さんが笑顔で100kmマラソンを完走したのを見て感動しました。それ以外で印象に残ったのは、大リーグエンゼルスで活躍する大谷翔平選手が、野球の神様と言われたベーブ・ルース以来104年ぶりとなる「2桁勝利&2桁本塁打」の大記録を達成しました。テレビ等で大きく報じられ、野球を知らなくても大谷選手のことを知っている人も多いかと思います。歴史に残る快挙とまでいわれていました。大谷選手は、節目節目、小学生の時、中学生、高校生、そして、活躍する今でも、大きな目標をたて挑戦し続けています。大谷選手の活躍する姿は夢と感動を与えてくれました。「不可能はいつかは誰かが可能にする」、子どもたちも目標を立て、こつこつ努力して充実した2学期にしてほしいと願います。

  長い2学期が始まります。私たちも大谷選手のように「失敗を恐れず、まずは、やってみよう!」を合い言葉に有意義な2学期となるよう3つお話をしました。

  一つ目、「2学期も新型コロナウイルスや熱中症に十分気をつけて生活しましょう」。始業式の登校の様子を見ていると、マスクをつけて登校してくる人が多かったように思います。熱中症対策のために登下校時はマスクをはずして登校しましょう。また、体育大会の練習も始まります。体育の時も熱中症対策のために、マスクははずしましょう。

  二つ目、「友だちや下級生から必要とされる人になりましょう」。7月に行ったアンケートの結果、「これは、すごいな!」とうれしくなったことがあります。それは「友だちや下級生から必要とされてうれしいと思いますか」という質問に対して「思う」と考えている子どもの数が、96%とほとんどの子どもたちが思っているということです。「人の役に立ちたい」という気持ち、「自己有用感」が高いということです。その気持ちを大切にすれば、他の人に優しくなれます。そして、「自分って、まんざらでもないな」と自分のことが好きになります。どの子も自分にしかない素晴らしい力を持っています。自分に自信を持ってください。

  三つ目、「2学期はいろいろな学習や行事があります。『本気』で頑張りましょう」。これもアンケートの結果ですが、「難しいことでも、自分からやってみようと前向きに取り組もうとした」の質問に対して、「取り組んだ」と答えた子どもの数が91%と、これもほとんどの子どもが「まずは、やってみよう」で取り組んだことになります。素晴らしいことです。先生たちは、本気で一生懸命に頑張る子を全力で応援します。思うようにいかなかったり、失敗したりすることもあるかもしれませんが、そんな時も先生たちは応援し続けます。もし、困ったことがあったら、担任の先生に相談してください。保健室、職員室、校長室に来てもいいです。

  それでは、みんなで力を合わせ、ひとみ輝き、笑顔あふれる鴻池小学校にしていきましょう。

こ幼小中学校合同研修会

令和4年8月25日(木曜)

  昨日、天王寺川中学校区こ幼小中学校合同研修会を開催しました。研修会では、「子どもたちが主体的に『家庭学習』に取り組む」をテーマに協議しました。子どもの学習習慣、生活習慣の形成、思考力・判断力・表現力の育成など子どもの健やかな成長を図るためには、中学校卒業時の目指す子ども像について共通理解を図り、幼児期から小中学校9年間の成長、発達を見通した教育を推進していくことが大切だといわれています。さらに、子どもの成長を支える学校・家庭・地域が連携し、地域ぐるみで教育を推進していくことが必要です。

  本校では、「コミュニケーション能力が乏しい」「自尊感情が低い」「基礎学力の定着が十分でない」など、さまざまな子どもの課題があります。これらの課題を解決するためには、各校種が教育の役割をしっかり果たすとともに、次の校種へ円滑な接続が促されるように、互いの教育の内容と方法について理解を深めることが必要です。もっと言えば、社会人として自立していくための「生きる力」となる学力を保障することは、学校の大きな使命だと考えます。

  いうまでもなく、学校だけが頑張っても、なかなか到達できるものではありません。肝になるのは、どれだけ家庭と「子どもを伸ばす」、「子どもの将来を真剣に考える」という思いを、ベクトルを同じにして、協力、連携し合いながら進めていけるかにかかっています。そして、地域の応援をどれだけいただきながら、地域の将来の担い手である子どもたちを伸ばしていくことができるかというところです。

  子どもは、「学校で学び、家庭で育ち、地域で伸びる」と言われます。義務教育段階を終える段階で身につけておくべき力は何か、9年間を見通した「学び」「生活」「家庭学習」の確認、交流することが、意味ある中学校ブロックの連携だと考えます。「連携」とは、「同じ目的を持つ者が互いに連絡をとり、協力し合って物事を行うこと」です。教育の目的が「子どもの育ち」や「学び」を促進し、子どもたちの成長を支援することであるとしたら、幼児教育に関わる者、小学校教育に関わる者、中学校教育に関わる者が「連携」を取り合うことは当然のこととなります。私たちは、子どもというものを「連続的に」学び、育ち、成長する者であるとして捉えることが重要です。「自分の目の前にいる子どもの今の姿」のみにとらわれて、「これまで」と「これから」を忘れがちになる教育活動の日常を、私たちは自覚的に見直さなければなりません。

  短い時間ではありましたが、こ幼小中学校の先生が互いに理解を進めるいい機会となりました。

北条政子の決断

令和4年8月23日(火曜)

  NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人』。脚本を務めた三谷幸喜さんの手によるものです。「源平合戦」を経て、北条家が鎌倉幕府において最高権力を持つ「執権」となるまでの生き様を描いた作品です。日曜日のこの放送を楽しみにしています。話は、年末にかけて中世史のターニングポイント「承久の乱」へと突き進んでいくところまで描かれるのではないでしょうか。頼朝が亡くなったあと、幕府の第2代将軍が頼家に、その頼家は、北条義時に暗殺されます。そして、実朝が第3代将軍となりますが、またも頼家の子の公暁に暗殺され、その公暁も暗殺され、源頼朝公より続いた将軍家直系の血統が絶えてしまいます。そして、実朝の暗殺から二年後の、承久3年(1221)5月15日、後鳥羽上皇は北条義時追討の命令を発する。義時は「朝敵」となります。義時の三度の難の最後のひとつ、承久の乱の幕が開けます。混乱に乗じて後鳥羽上皇が諸国の守護・地頭に対して発した執権・北条義時の追討命令から始まります。あまりにも有名なのが、頼朝の正妻、北条政子の演説。政子の演説に奮い立った御家人たちが、鎌倉幕府を潰そうとした後鳥羽上皇を返り討ちにします。鎌倉幕府が編纂したと伝わる歴史書「吾妻鏡」によると、「皆、心を一つにして承るように。これが最後の言葉である。故右大将軍(頼朝)が朝敵を征伐し、鎌倉に幕府を創って以来、官位といい、俸禄といい、その恩は山よりも高く、海よりも深いもの。 感謝の気持ちは浅くないはず。 しかしながら、反逆者が事実でない事を訴え、道理からはずれた院宣が発せられた。 名声を大切にしようと思う者は、藤原秀康・三浦胤義を討ち取り、源氏三代の将軍、頼朝、頼家、実朝が遺したものを最後まで守りなさい。 ただし、後鳥羽上皇のもとに参ろうと思う者は、今すぐ申し出なさい」と、 これを聞いた者たちは、命を懸けて恩に報いる決意を返答したのだと伝えられています。 鎌倉幕府の危機にうろたえることなく、リーダーとして、朝廷を敵にまわすという覚悟を決断します。後家人を鼓舞し、動かす政子がリーダーたる所以がそこにあるといえます。

核なき世界へ

令和4年8月16日

  8月6日には、広島が被爆してから77年となる「広島原爆の日」を迎え、同様に長崎においても9日に「長崎原爆の日」を迎えました。そして15日は、77回目となる「終戦の日」を迎えることになりました。ロシアによるウクライナ侵攻で、戦争の痛みと無情さを改めて思い知らされました。複雑な国際社会の中で、改めて多くの人が「平和」について考える夏となりました。ウクライナ侵攻による核使用への懸念が高まり、「核なき世界」の実現に向けて核廃絶を求める声と核兵器による抑止力なくして平和は維持できないという考えが交錯する中です。2021年1月22日(土曜)に将来的な核兵器の全廃へ向け、「核兵器禁止条約」が発効し、世界的な法規範として正当な効力を持つこととなりました。これによりオバマ元大統領が打ち立てた「核なき世界」、核兵器の終わりに向けスタートしたことになります。

  このような中、私が印象に残ったのは、広島平和公園「平和記念式典」での『平和宣言』と『平和への誓い』です。『平和宣言』では、ロシアの核兵器の使用を示唆したのを念頭に、「他者を威嚇し、その存在をも否定するという行動をしてまで自分中心の考えを貫くことが許されてよいのでしょうか。私たちは、今改めて、『戦争と平和』で知られるロシアの文豪トルストイが残した『他人の不幸の上に自分の幸福を築いてはならない。他人の幸福の中にこそ、自分の幸福もあるのだ』という言葉をかみ締めるべきです」と、核兵器廃絶に向けた決意を宣言されました。さらに、2人の小学生が『平和への誓い』を宣言しました。宣言では、「あなたにとって、大切な人は誰ですか」という一文から始まりました。そして、「自分が優位に立ち、自分の考えを押し通すこと、それは、強さとは言えません。 本当の強さとは、違いを認め、相手を受け入れること思いやりの心をもち、相手を理解しようとすることです。本当の強さをもてば戦争は起こらないはずです」と。2人は最後に「平和な景色が映し出される未来を創るため、私たちは、行動していくことを誓います」と声を響かせます。次代を担う若い世代として、被爆者の声を聞き、多くの人にその思いを広げると力強く語ることのできる子どもの姿を頼もしく感じました。