令和4年7月【学校長の部屋】鴻池小
「聴き方名人」になろう
令和4年7月28日(木曜)
7月25日(月曜)、川西アステホールで「令和4年度 第26回 兵庫県学級経営研修大会」があり、参加させていただきました。兵庫県内各市町からたくさんの先生方が夏休みの研修会に参加していました。
そもそも学級経営とは何でしょうか。学級経営とは、子どもたち一人ひとりが、達成感や自己有用感を高め、共感的で安心できる居場所となるようそれぞれの子どもの個性を十分に理解し、活躍できる機会をつくるなど、学級にかかわるすべての教育活動のことです。子どもたちにとって学級は、学校生活のよりどころであり、心のよりどころです。また、人間形成に大きな影響を与える場となります。学級経営について、小学校学習指導要領の総則には、「学習や生活の基盤として、教師と児童との信頼関係及び児童相互のよりよい人間関係を育てるため、日頃から学級経営の充実を図ること」と示されています。学級は、子どもたちにとって学習や学校生活の基盤であり、学級担任である教師の営みは重要です。
今回の学級経営研究大会では、「生活指導と一体化した学級経営」と題して、西宮市の先生の実践発表がありました。その後、教育アドバイザー 多賀一郎先生から「子どもの心をつかみ、聴く子を育てる手立てについて」と題して講演会がありました。講師の多賀先生からは、「聞くクラスを育てよう」と、そのためには、まず教師が子どもの声に耳を傾けること、「聴く」でないといけないと。子どもの声を耳だけで聞いていませんか。「耳+目と心」で子どもの思いを受け止めることから始めましょうということでした。「聴く」とは、理解しようと進んで耳を傾けるとか意思を持って注意深くきくということです。例えば、「普段ぼんやりと聞いている授業、今日はテストの情報があるから積極的に聴こう」などです。一方の「聞く」は、自然に耳に入るという意味があり、「寝ていると外から雨の音が聞こえてきた」のようなときに使います。言葉を通じて双方が理解しあうコミュニケーションに大切なことは、相手の話に傾聴して聴くことです。せっかく話していても、相手が真剣にきいている姿勢がないと、話す気がなくなってしまいます。大人でも子どもでも同じです。そして、聴き方にもいろいろありますが、「うなずき」「あいづち」「賞賛(おどろきの表情)」を「傾聴三動作」と言い ます。相手の話を聴く時に、相手の目を見ながら、うなずいたり、あいづちを打ったりと、驚きの表情をすると聴いてもらっていることがわかります。話し手に話しやすい環境をつくる三つの動作です。私たち教師は良い聴き手にならなければなりません。「傾聴三動作」はコミュニケーションを円滑に進めていくためのツールでもあります。子どもたちに「傾聴三動作」を低学年のうちから身につけさせることも、相手の話をじょうずに聴く訓練になります。聴くことは、授業づくり・学級づくりにおいて、最も基本です。
「聴き方名人」という言葉があります。「あ」相手を見て・「い」いい姿勢で・「う」うなずきながら・「え」笑顔で・「お」終わりまで、という言葉です。子どもたちが、安心して話せるように、よく教室などに掲示しているものです。私たち教師や大人が「聴き方名人」になって、子どもたちの話を最後まで寄り添って聴けているか、一度ふり返ってみましょう。
感謝の気持ち
令和4年7月20日(水】
桜の季節から始まった一学期も、夏のまぶしい太陽の季節となりました。子どもたちも、進級した学年で夏の太陽のように力強く、しっかりと歩を進め、本日、一学期の終業式を迎えることができました。この一学期、保護者の皆様や地域の皆様には、多大なご協力・ご支援をいただき感謝の気持ちでいっぱいです。
令和4年度、「ひとみ輝き 笑顔あふれる 鴻池小学校」を学校教育目標に、合い言葉「失敗を恐れず、まずは、やってみよ!」で、新型コロナウイルス感染症にも対応しながら教育活動を進めて参りました。あいさつを頑張る子、授業に真剣に取り組む子、運動を頑張る子、学校行事で頑張る子、学級や人のために頑張る子など、「笑顔あふれる鴻池小学校」にしようとする子どもたち一人ひとりの取り組みに感謝です。そして、無事に一学期が終えられたことに感謝です。
いついかなる状況におかれても、すべてのことに感謝の心で対応することの大切さについて、稲盛和夫さんは、著書「心。」(サンマーク出版)の中で述べられています。どれほど順風満帆であろうとも、それが未来永劫続くわけがない。それに驕り高ぶることなく、常に謙虚な気持ちで自らの行いを律するとともに、感謝の念を忘れてはなりません。そして、災難、苦難、不幸といった状況に直面しているときこそ、実は感謝する「絶好の機会」なのです。なぜならば、そうした過酷な環境や厳しい出来事が私たちの心を鍛え、魂を磨いてくれるからです。嘆いたり、恨んだり、愚痴をこぼしたりせずに、すべてを前向きに受け入れ「ありがとう」の気持ちで歩んでいくことです。「ありがとう」という言葉は、「あるのが難しい」、すなわちありえないことが起こっているという意味で、私たちが生きて経験することは、実はすべてが「あるのが難しい」の連続なのですと。もっと、平たく言うと、私たちは「感謝の気持ち」を感じたときに「ありがたいな」と感じるわけです。漢字で書くと、「有り難いな」です。つまり「有る」ことが「難しい」ってことです。「有る」ことが難しいのに、「有る」と感じるから「有り難いな」って思うわけです。アメリカのテレビ番組の司会者、女優としても活躍し、アメリカタイム誌で「世界で最も影響力のある100人」に何度も選ばれたオプラ・ウィンフリー。「今あなたが持っているものに感謝すれば、もっと多くのものを手にすることができるでしょう。もし、あなたが持っていないものを気にしすぎたら、決して満足は得られない」。これは、彼女の言葉です。まずは、今の状況に感謝すること、持っていないものを気にしても、イライラしたり、不安になったりするだけです。自分が持っているすべてのものに感謝の気持ちを持てば、幸せになれます。感謝するとは、自分が豊かな恵みを受けていることを確認することです。私たちは、知らず知らずのうちに感謝する心に鈍感になっているのではないでしょうか。「うれしい」「ありがとう」と素直に感謝する態度は、自分のことが好きになり、行動を変えます。行動が変われば習慣が変わります。習慣が変われば人格が変わります。人格が変われば運命が変わります。
愚直に
令和4年7月13日(水曜)
私は、校長になって10年、校長になったときから「愚直」ということばを校長室の見えるところに置いています。これを見ていつも自分自身に言い聞かせ、戒めています。実は、この「愚直」ということばは、教育事務所時代の上司が机の上のガラス板に挟んでいた「ことば」でもあります。いつも見えるように挟んで、自分自身に言い聞かせるために置かれていたことばの一つです。私もそれを習って見えるところに置くようにして10年です。「愚直」とは、おろかしいほど正直なこと。ばか正直という意味です。責任ある立場に立つと、あれこれ「迷い」が生じてきます。他人によく思われたいため小賢しいことも考えるようになります。でも、最後に人を動かすことができるのは、誠実で愚直なことばや姿勢だと。
この「愚直」とことばは、勝海舟の名言の中にも出てきます。「事を遂げる者は愚直でなければならぬ。才走ってはうまくいかない」と。勝海舟は、江戸時代末期から明治時代初期の幕臣です。蒸気船「咸臨丸」で日本人として初めて太平洋を横断し、帰国後は欧米列強にも対抗できる「日本海軍」の創設に尽力します。また、1868年(慶応4年=明治元年)、戊辰戦争で東征軍参謀の西郷隆盛と幕府側の代表である勝海舟との会談で、翌日に控えた江戸城総攻撃を中止させた江戸城無血開城の立役者として有名です。さて、「事を遂げる者は愚直でなければならぬ。才走ってはうまくいかない」とは、何か事を為し遂げようとするときには、誠心誠意、真面目に実直に事に当たることが大事で、成功を焦るあまり、小賢しさが判断を曇らせてしまいます。先のことを考えず、ひたすら努力を続ける愚直な人でなければならないことになります。まさに「誠心誠意を尽くす」態度を大切にしていかなければなりません。アップル創業者のスティーブ・ジョブズのことばに「偉大な大工は、誰も見ないからといって、キャビネットの裏側にひどい木材を使ったりはしない」。誰からも見られないところは、手を抜こうと思えば抜くことができます。でも誰も見ていないときの行動や態度こそが実は大切で、その人の品性や人格を表します。見えるところばかりを取り繕っていては、偉大な大工にはなれません。表も裏も愚直なまでに丁寧に行うこと、自分の行動のなかにしか自分を自分たらしめるものはありません。だから、人が見ていようがいまいが誠心誠意を尽くすことにあります。
星に願いをこめて!

令和4年7月6日(水曜)
今年も七夕に向けて色紙を折って切ったり、貼ったりして、吹き流しや網飾り、ちょうちんなどの七夕飾りを子どもたちが作っていました。また、短冊には、「みんなが笑顔になれますように」や「大きくなっても友だちと一緒にいられますように」、「コロナがなくなりますように」、「みんなの願いごとが叶いますように」、「世界が戦争のない世界になりますように」「おばあちゃんちのみんなが長生きできますように」など、家族のことや友だちのこと、平和への願い、コロナのこと、たくさんの願い事を一人一人がしたためていました。
「七夕」は、7月7日または旧暦の7月7日(現代の8月上旬から下旬頃)に行われる伝統的な行事で、五節句の一つとされています。日本古来の豊作を祈る祭りに、針や糸を供えて手芸の上達を願うという宮中行事が始まりでした。その後、短冊に願い事を書いて笹竹に吊るすようになったのは江戸時代のようです。昔は、短冊に願いごとを書くのではなく、五色の願いの糸をかけたようです。五色の糸、青は「徳を積むこと」、赤は「父母や祖先を敬うこと」、黄は「友だちを大切にすること」、白は「義理や決まりを守ること」、黒は「学業に励むこと」と五色それぞれに意味があります。また、七夕飾りにも意味があります。折鶴(千羽鶴)は「長生きできることを祈る」、吹き流しは「裁縫が上手になることを祈る」、網飾りは「大漁を祈る」、巾着は「金運の上昇を祈る」、神衣・紙衣は「着るものに困らないことを祈るとともに、災いごとの身代わりになってもらうことを祈る」、くずかごは「整理整頓や節約の心を身につけることを祈る」と、天空からも見えるように短冊や願いを込めた七夕飾りを飾るようになったのですね。
明日は七夕、『七夕の 逢わぬ心や 雨中天 』、松尾芭蕉の句のように雨とならないで、織姫さまと彦星さまが天の川を渡って1年に1度だけ出会える夜になるといいですね。そして、子どもたち一人ひとりの願いが星に届きますように!
更新日:2022年07月28日