令和4年6月【学校長の部屋】鴻池小
イソップ寓話
令和4年6月29日(水曜)
給食の時間に放送委員会の子どもたちがイソップ物語の有名なお話『北風と太陽』を読んでいました。とっても上手に読むものだから聞き入ってしまいました。『北風と太陽』のお話は、多くの方が聞いたことのあるお話です。「北風と太陽はどちらの力が強いかを争います。そして、道を歩いている旅人の上着を脱がせた方が勝ちだと決めます。最初に北風が激しく吹きつけると、旅人は吹き飛ばされないように上着をしっかり押さえ続けました。北風は疲れ果ててしましました。次に太陽は旅人を温かく照らし、もっと強く照らしました。すると、旅人はすっかり暑くなって自分から上着を脱ぎました。こうして太陽は北風に勝ちました」というお話です。このお話は北風と太陽の力比べの話ですが、お話の裏側には、人間として忘れてはいけない大切な教えが隠されています。例えば、この『北風と太陽』のお話では、力ずくに厳しい態度で人を動かそうとしても、かえって人は頑なになってしまうが、暖かく優しい言葉をかけたり態度を示したりすることによって、人は自分から望ましい行動を起こすようになります。このようにイソップ物語には、さまざまな人間として忘れてはいけない大切な教えが隠されています。『イソップ物語』と表現していますが、「イソップ童話」とか「イソップ寓話」とも言います。「童話」とは、熟語が示すように子ども(童)のためのお話のことで、おとぎ話とほぼ同義で用いられているものです。一方の「寓話」は動物などを擬人化して登場させ生活を描くことで、人に何らかの教訓を与えることを意図したお話のことです。そういう意味では、「イソップ」のお話は、「イソップ寓話」ということになります。イソップ寓話の生みの親は、今から2600年程前のギリシャの国にいたアイソーポスという人です。アイソーポスは奴隷でしたが、とてもお話が上手で人々に喜ばれたために、人間らしい生活を許され、ギリシャ各地をまわって王様や世の中の人々に寓話を語りまわったとされています。このアイソーポスの寓話を集めたものがイソップ物語です。
誰でも一度は聞いたことのあるお話も多いと思います。『ウサギとカメ』『アリとキリギリス』の『オオカミ少年』『金の卵をうむニワトリ』『キツネとブドウ』『ガチョウと黄金の卵』など、たくさんの作品があります。『ウサギとカメ』のお話は有名ですね。ウサギとカメがかけっこを始めます。足の速いウサギはどんどん先に行き、カメを引き離します。余裕で勝てると思ったウサギは、休憩がてら居眠りを始めます。その間にカメは一歩一歩確実に進み、ついにカメがウサギに勝ってしまうというお話です。ここから学ぶことは、油断大敵、目標に向かってやろうとこつこつ努力をする人には最後には負けてしまいますよという人間として忘れてはいけない大切な教えが隠されています。
さて、子どもたちは、放送委員会の子どもたちがお昼に読んだ『北風と太陽』のお話を聞いて、人として忘れてはいけない隠された大切なことに気づくことができたでしょうか。
優しい気持ちを育む
令和4年6月22日(水曜)
鴻池小学校には、たくさんの樹木が育っています。ミカンをはじめ実のなる木をこれまで育ててきました。そのお陰で、市内では珍しく、図鑑でしかなかなか見ることができないアカショウビンやカワセミ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、モズ、メジロなど、たくさんの野鳥が学校に飛んでくる姿を見ることができます。今年度は、花のある学校にしたいと考え、ボランティアを募ったところ13人の方が、ボランティアとして花を育てる活動に協力をしていただけることになりました。早速、10日に集まっていただき、ポーチュラカや百日草の苗を正門横の花壇に植えていただきました。また、あわせてプランターにも苗とポピーの種を蒔いていただきました。さすがボランティアさん、それぞれの花の特性を考えて、苗と苗の間隔をあけたり等、考えながら植えていただきました。これから大きく、きれいに育つことがとっても楽しみです。でも、2,3日すると、元気のない百日草が、今にも枯れそうな姿を見せていて気になっていると、ボランティアの皆さんも気がついていて、どうしたらいいのかを思案してくれていたそうです。何か、子どもを育てているような気持ちになりました。子どもに元気に大きくなあれと愛情を注ぐように、花にも大きく元気に育てと水やりを欠かさず、元気のない苗にはどうしたらいいのかと思案し、優しく、そして美しさを感じさせられました。梅雨の時期が過ぎると暑い夏がやって来ます。土の中の水分や水をやるタイミングなど、状況を見ながら水をやらなければなりません。放っておくと土はカラカラに、草は伸び放題になってしまいます。逆に水をやりすぎてもいけません。また、「肥料はどうしようか、やり過ぎてもいけないね」と気を遣いながら様子を見ていかなければなりません。楽しみな反面、気を遣いながらということも、何か子育てに通ずるところがありますね。
「花育」という言葉があります。花育とは、「花や緑に親しみ、育てる機会をとおして、やさしさや美しさを感じる気持ちを育むこと」と農林水産省のホームページにあります。また、全国花育活動推進協議会では、花育について3つの意義 1「幼児・児童にやさしさや美しさを感じる情操面の向上、農を接する体験教育の機会を与える」 2「花や緑を介した世代間交流の促進と地域コミュニティの再構築につながる」 3「四季に応じた花や緑を楽しむ、日本の花文化の継承が期待される」があるとしています。さらに、4つの効果として、 1「『感謝する気持ちを育む』、 2『やさしい気持ちを育む』 3『探究心や創造力を育む』 4『人とのつながりを作り、広げる』 5『波及効果への期待』という効果があるとしています。詳しくは、全国花育活動推進協議会のホームページをご覧いただければと思います。
大人も子どもも、生命あるものに触れる感動を体験し、命の大切さを知り、命あるものに対する関わり方、ふさわしい扱い方を学ぶことで、感謝する気持ちや優しい気持ちを育むことができるように思います。
アニメ「ONE PIECE」から!
令和4年6月15日(水曜)
アニメ「ONE PIECE」の映画『ONE PIECE FILM RED』が8月6日(土曜)に公開されます。私の好きなアニメの一つでもあります。尾田 栄一郎さん作の「ONE PIECE」は、1997年に初刊が発行されて、今年の4月の時点で単行本は第102巻まで刊行されています。全世界累計発行部数は2021年7月の時点で4億9000万部を突破しています。2015年には、「最も多く発行された単一作家によるコミックシリーズ」としてギネス世界記録に認定されています。
少し内容について触れてみると、主役のルフィは、村に滞在していた海賊?赤髪のシャンクス?と親しくなり、海賊への憧れを募らせます。ある日、ルフィは「ゴムゴムの実」という悪魔の実を食べ、一生泳げない体になる代わりに、全身が伸び縮みするゴム人間になってしまいます。しばらくして、ルフィはシャンクスをおとしめる山賊たちから怒りを買い、海に投げ込まれてしまいます。絶体絶命、ルフィは溺れかけ、巨大魚に食べられそうになったところを、シャンクスは片腕を犠牲にして助け出します。ルフィは、村を去る間際のシャンクスから、トレードマークの麦わら帽子を託され、将来立派な海賊になって再会することを約束します。
この話の中で、シャンクスが小さなルフィに乱暴をする山賊に言った言葉が次の言葉です。「いいか山賊・・・、おれは酒や食い物を頭からぶっかけられようが、つばを吐きかけられようが、たいていの事は笑って見過ごしてやる。・・・だがな、どんな理由があろうと、おれは友だちを傷つける奴は許さない!」と、いい言葉です。連載開始から四半世紀を迎えようとしています。人気は国境を超え、全世界でのコミックス累計発行部数は、5億冊を超える勢いです。大人から子どもまでファンの裾野は広がっています。このお話のメインテーマは、「仲間」です。ルフィたち麦わらの一味は、数々の困難を仲間とともに乗り越えていきます。ルフィの言葉に「大切な仲間がいるからこそ、大きな挫折を乗り越えられる」と、友だちや仲間を助けるために命がけで戦い、逆に間違いをしそうな仲間がいると、喧嘩をしてでも止めに入ります。仲間のことを誰よりも頼りにし大切に思っているのです。ここに、アニメ「ONE PIECE」の魅力があるのではないでしょうか。
鴻池小学校にも、「ONE PIECE」が好きな人がたくさんいると思います。鴻池小学校に通う人はみんな「仲間」であり、「友だち」です。「どんな理由があろうと、おれは友だちを傷つける奴は許さない!」の気持ちを大事に、友だちを守ることができる人、困っている人や弱い人たちを助けることができる人になってください。
学校における危機管理とは…
令和4年6月6日(月曜)
学校は、子どもたちが安心して学ぶことができる安全な場所でなければなりません。事件・事故災害は、いつ、どこで、誰に起りうるかを予想することが困難な場合があります。しかし、危機的状況の発生を防止したり発生時の被害を低減したりすることは、可能です。文部科学省が2021年6月に「学校の『危機管理マニュアル』等の評価・見直しガイドライン」を公表しました。そのガイドラインで取り扱う「危機」の範囲について、学校保健安全法では、事故、加害行為(他者の故意により児童生徒等に危害を生じさせる行為)、災害等により児童生徒等に生ずる危険を防止するとともに、それらが発生した場合にも適切に対処できるようにすることが求められています。また、学校管理下で想定される危機事象には様々なものがありますが、ガイドラインでは、上記の考え方に基づき、主に突発的なケガや心停止などの事故、不審者侵入などの加害行為、自然災害や火災などの災害等を中心に、危機管理マニュアルで定めておくべき事項やその考え方等を記載しています。
さて、改めてですが「危機管理の目的」は、児童及び教職員の生命を守り、日常の教育活動、学校に対する信頼を維持するために、危機を予知・予測し、回避に努めるとともに、危機発生時には、被害を最小限にとどめる取り組みのことです。当然ながら危機への対応については、スピードが求められるところです。さらには、学校における危機とは何かを予測することです。学習活動中の事故、問題行動、自殺、食中毒や感染症、アレルギー、熱中症など健康に関わること、不審者への対応、火災・自然災害、交通事故等、子どもの安全に関わることや教職員の不祥事、不適切な対応による信用失墜、個人情報漏洩、資金管理等、教職員の信頼に関わることなどが挙げられます。校内で起こりうる危険を予測して未然に防いだり、被害を最小限に抑えたり環境整備や体制整備を整えるリスクマネジメント(事前の危機管理)が大切になります。施設の安全点検や避難訓練、教職員研修、安全教育などもリスクマネジメントです。いくら対策を講じても、残念ながら危機をゼロにすることは不可能です。起こってしまった危機の影響をなるべく小さくするためにどうしたらいいかなど、その危機や後に行う対応がクライシスマネジメントです。保護者や関係者への連絡、再発防止策や心のケアに必要な対応、リスクマネジメントの見直しなどがあります。教職員は危機の後に行う基本的な対応を理解し、身につけておかなければなりません。地域の特性や子どもの実態を把握して迅速かつ適切に対応します。
教職員の危機意識を高めるためには、教職員全体で「ヒヤリ・ハット」、日常の指導や行為の中で「ヒヤリ」としたり、「ハッ」としたりした経験や事例について、共有していくことが大切です。また、対応力を高めていくためには、実際に事故等が発生したことを想定して、子どもの安全確保や応急処置(アナフィラキシー補助治療剤やAEDの配置確認と操作)、救急要請等の動きを実際に行いながら訓練するシミュレーション型の研修も有効です。このような取り組みを通じて、教職員全員が「危機はいつでも起こりうる」という意識をもち、万が一、危機が発生した場合には、組織的かつ適切に対応できるようにしておくことが大切です。
地域を知る
令和4年6月1日(水曜)
3年生の社会科では、自分たちが住んでいる伊丹市のことについて学習します。2年生の生活科の学習でも「町たんけん」を行いましたが、3年生は範囲を少し広げて自分たちの住んでいる地域以外のことについても学習をします。
今回の「校区たんけん」では、これまでコロナウイルス感染症予防のため実施できなかったのですが、保護者の方やまちづくり推進課の方にも協力をいただき、各グループについて一緒に校区探検を行っていただきました。お陰で安全に安心して校区探検を実施することができました。また、地域の方には、地域の神社や石碑などに待機していただき、まわってきた子どもたちに校区の名所の説明をいただき、とても感謝しています。
教育活動において、地域との積極的な連携は、子どもの学びに広がりと深まりが生まれます。さらに言えば、子どもの成長に関わる活動については、教職員だけではなく、保護者や地域の方々の様々な側面からの支援が子どもたちの学習環境をより豊かなものにします。学習指導要領の総則において「家庭や地域社会との連携及び協働」について、「学校がその目的を達成するため、学校や地域の実態等に応じ、教育活動の実施に必要な人的又は物的な体制を家庭や地域の人々の協力を得ながら整えるなど、家庭や地域社会との連携及び協働を深めること。また、高齢者や異年齢の子供など、地域における世代を越えた交流の機会を設けること」とあります。学校教育目標の実現に向けては、到達目標の共有をはじめ全教職員の協働性が必要ですが、「社会に開かれた教育課程」という理念を踏まえると、家庭や地域との協力関係も含めたチーム・ネットワークの構築も重要な要素となります。
話は校区探検に戻しますが、校区探検の目的は、子どもたちが校区を歩き、周りの様子を観察して、素敵なところや自慢できるところをいっぱい見つけることにあります。まずは、学校給食センターです。伊丹市内の小学校の全部の給食は、校区にある給食センターで作られて各学校に配送されています。また、伊丹市でとれた食材を給食に使うこともあります。次は、天王寺川中学校を横に見ながら、鴻池神社へ。鴻池神社では、地域の方が鴻池の歴史について、子どもたちに話をしてくれました。鴻池神社の創建年代は不詳ですが、もとは蔵王権現を祭っていた社で、明治12年(1879年)に安閑神社と改称し、更に大正期に、向かい合う慈眼寺の鎮守八幡神社を合祀して、鴻池神社と呼ばれるようになります。次は、鴻池稲荷祠碑です。ここは、江戸時代の豪商として知られる鴻池家の発祥の地です。碑文によると、山中家始祖新六幸元は、戦国武将山中鹿之介の子孫で、慶長5年(1600年)、鴻池村において清酒「双白澄酒」を造ることに成功し、これが山中家の繁栄の基礎となったとしています。最後にまわったのが、清酒発祥の地の記念碑です。ここ鴻池の地に「清酒発祥の地」記念碑が建立されました。また、清酒をイメージしたたる型のマスコット「たるまる」が地元の祭りや清酒イベントを盛り上げています。
3年生の子どもたちは、校区探検を通して、たくさんの『気付き』があったのかなと思います。自分の住んでいる地域について、楽しく学んで、これまでよりも自分の町を『好き』になって、自慢の地域にしてください。
更新日:2022年06月29日