令和5年度2月【学校長の部屋】鴻池小

更新日:2024年02月29日

聴き方名人

令和6年2月29日(木曜)

  話す力・聞く力は、授業中だけで育まれるものではなく、朝の会や帰りの会、学級会といったさまざまな時間のなかで身につけていくものです。そのなかで、「最後まで話す、最後まで聞く」指導をし、子どもたちの話す・聞く力を伸ばしていくことが重要です。

  人の話を聞くことはコミュニケーションの基本です。そして、コミュニケーションは受け手により成立するものです。でも実際には、人の話を聞いているようで聞いていないときや集中しているようで他のことを考えている場合もあります。相手が真剣にきいている姿勢がないと、話す気がなくなってしまう場合もあります。大人でも子どもでも同じです。そして、聴き方にもいろいろありますが、「話し三分に聞き七分うなずき、あいづち、驚きの表情」という、田中真澄さんの『傾聴の三動作』というのがあります。傾聴とは相手の話したいことに対して深く丁寧に耳を傾け、相手に肯定的な関心を寄せ内容の真意をはっきりとさせながら、共感的理解を示すコミュニケーションの技法です。それに3つの動作「うなずき」「あいづち」「賞賛(おどろきの表情)」を加えて「傾聴の三動作」と言います。耳を傾けて熱心に聞くためには、三つの動作が必要だということです。それが、「うなずき」「あいづち」「驚きの表情」です。相手の話を聴く時に、相手の目を見ながら、うなずいたり、あいづちを打ったりと、驚きの表情をすると聴いてもらっていることがわかります。話し手に話しやすい環境をつくる三つの動作です。私たち教師はよい聴き手にならなければなりません。子どもの立場に立って、子どもの気持ちに共感しながら話を聴けるようになると、子どもは、安心して話ができるようになります。

  「聴き方名人」という言葉があります。「あ」相手を見て、「い」いい姿勢で、「う」うなずきながら、「え」笑顔で、「お」終わりまで、という言葉です。子どもたちが、安心して話せるように、よく教室などに掲示しているものです。何かあった時、子どもの話を最後まで聴き、言い分や思いを聴いているだろうか。途中で話を遮ってはいないだろうか。子どもは、自分のことを分かろうとしてくれているかどうかを敏感に感じ取っています。今一度私たち教師や大人が「聴き方名人」になっているかどうかを点検することも大事かなと思います。子どもの話、心の声に寄り添って聴ける力をもつことは、教師として大人として素晴らしいことです。

グランドデザイン

令和6年2月22日(木曜)

  学習指導要領に示された「社会に開かれた教育課程」の理念に基づき、めざすべき教育のあり方を家庭や地域と共有し、連携と協働を深めていく、それを示したのが「鴻池小学校グランドデザイン」です。グランドデザイン(学校教育全体構想図)策定にあたっては、学校教育目標の実現に向けて、学校の教育活動全体を視野に入れ、児童の実態、学校や地域の特性などを明らかにした上(学校評価総括表)で、全教職員が共有することが大切です。

  学校教育目標「ひとみ輝き 笑顔あふれる 鴻池小学校」の「ひとみ輝き」には、「自ら進んで自分の持てる力を伸ばそうとする姿勢や目の前の課題を自分の力で解決するためにわかりたい、できるようになりたいという気持ちを持った子を育てる」という願いが込められています。「笑顔あふれる」には、「友だちと共にそれぞれの良さを磨きあい、高めあうことでよりよい学級、よりよい学校を築いていこうとする態度を育てる」という願いを込めています。そして、合言葉を「失敗を恐れず『まずは、やってみよう!』には、「どんなに苦しいことがあっても逃げずにチャレンジできる自己肯定感の高い子どもに育ってほしい」という願いが込められています。

  先行き不透明な時代において、社会の変化に柔軟に対応することのできる資質を有する人材を育成しなければなりません。国では、「持続可能な社会の創り手の育成」と「日本社会に根ざしたウェルビーイングの向上」が掲げられています。

  学校では、自分にとって必要な学びを自分の力で進めていくことのできる資質を育むために、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実し、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善につなげていきます。その具体的な取り組みとして以下の重点プランに取り組んでいきます。

  重点1「確かな学力の育成」、重点2「豊かな人間性・社会性の育成」、重点3「たくましい心身の育成」と、「生きる力」の育成に向け、知・徳・体のバランスの取れた力を育んでいきます。重点1の「確かな学力の育成」については、生涯にわたって学習する基盤が培われるよう基礎的・基本的な知識及び技能を、家庭とも連携を図りながら確実に習得させます。さらに、「主体的・対話的で深い学び」の視点での授業改善、ICTを効果的に活用し、教わる授業から自ら学びとる授業への転換を図っていきます。重点2「豊かな人間性・社会性の育成」については、子どもを取り巻く環境の変化、いじめや不登校等の状況を踏まえながら、家庭や地域とともに調和のとれた豊かな人間性や社会性を育成します。まずは、「認め・ほめ・励まし・伸ばす」教育の日常化を図ります。その上で、さまざまな学習活動や体験活動を通して、基本的生活習慣や規範意識、自己肯定感や他者と協調し、他者を思いやる心など、豊かな人間性を育みます。重点3「たくましい心身の育成」については、失敗を恐れず最後まであきらめない、強い意志をもち、健康・安全に気をつけ、体力づくりに努める子どもを育成します。

  最後に、子どもたちが生活をしている学級や学校の課題に対して、自ら考え、行動できるよう自治的風土を大切に、子どもの主体性やレジリエンスを育てていきます。

変化の先に

令和6年2月13日(火曜)

  1809年の2月12日は、「進化論」を発表し世界に大きな影響を及ぼした生物学者チャールズ・ダーウィン(1809年-1882年)が誕生した日です。

  ダーウィンの名言をひとつに『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。 唯一生き残ることができるのは、変化できる者である』という言葉が有名です。

  Society 5.0 時代、社会の在り方そのものが大きく変化しつつある中、子どもたち一人ひとりを大切にし、また、お互いを尊重し、協働しながら探求を深め、問題を解決していく資質・能力を育てることが学校教育に求められています。中央教育審議会が2021年1月26日に公表した答申「『令和の日本型学校教育』では、「一人ひとりの児童生徒が、自分のよさや可能を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが必要」としています。今の学校教育環境が抱える課題に対応するために、「子どもの側に立ち、子どもを主語にする」という学ぶ側からの視点で捉え直し、全ての子どもの可能性を引き出す「個別最適な学び」と「協働的な学び」の実現が目指されているところに特徴があります。

 1人1台端末環境のもと、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実により、学級単位で一つの空間で一斉に黒板を向いて授業を受けるスタイルだけでなく、クラウド等を活用し、教師と子ども、子ども同士がつながり、タブレットを片手に教室内外で個に応じた学習を行うことや学校内外の他者との協働により創造的な探究学習を行うなど、学びのスタイルが多様に変容していく可能性が広がっています。

  絶えず不易流行を見極め、変化を恐れず、果敢に挑戦することが求められています。変化することで見えてくる未来、私たちの新しい可能性は「変化」の先にあります。子どもたちの「主体的で対話的な深い学び」の実現には、教師自身が常にアップデートし、変化を恐れるのではなく、変化を楽しむくらいの気構えでいることが、子どもを主語にした学びのスタイルの変容への対応につながっていくものだと思います。

一日入学から

令和6年2月8日(木曜)

  この春に入学する保護者と子どもを対象とした「一日入学・入学説明会」を実施しました。1年生は、新入児が来るということで朝からわくわくしている様子でした。教室では、1年生がカレンダーづくりやゲームなどで新入児を歓迎し、一緒に楽しく遊びながら、2年生への進級にむけて思いを高める大切な機会となりました。新入児のみなさんは入学への思いに胸を膨らませ、心構えができたように思います。また、入学説明会では、以下のような話をしました。

  4月から私たちと皆さんとは「大切なお子さんを育てる」という同じ目標をもった、いわば「同志」であると言えます。ぜひ、お互いにコミュニケーションを密に取り合い、お互いを尊重しあいながら「子どもたちの笑顔」のために、ともに頑張っていければと思っています。

  まず、4月からお子さんが通うことになる鴻池小学校のことを、少しお話しさせていただきます。入学予定児童92名を加え全校児童は577名でスタートする予定です。本校の学校教育目標は「ひとみ輝き 笑顔あふれる鴻池小学校」です。子どもたちがひとみを輝かせて活動し、笑顔があふれる学校にと願っています。そのために、めざす子ども像が3点、1)思いやりのある心豊かな子 2)夢や目標に向かって努力するたくましい子 3)意欲的にそして主体的に自ら考える子 の育成をめざして取り組んでいます。教師も子どもPTAも「失敗を恐れず『まずは、やってみよう』」を合言葉にチャレンジしています。

  保護者の皆様に、次の3点についてお願いをします。

  まず1点目は、「あいさつ」ができるようご家庭でもしっかりとしつけてください。「おはようございます、こんにちは、いただきます、ありがとう」など、あいさつは人と人の心をつなぐ「魔法の言葉」です。元気なあいさつで、一日の学校生活をスタートさせ、明るい気持ちで一日を過ごしたいものです。

  2点目は、「早寝・早起き・朝ごはん」です。心と体がまだまだ成長しきれていない1年生にとって,一日の学校生活を送れる体力をつける必要があります。規則正しい生活は、子どもの心をたくましくし、気力や体力を備えることができます。

  3点目は、保護者の皆様へのお願いです。子どもの教育は、学校だけではできない面が多々あります。「褒めて、認めて、励まして」と、子どもたちを前向きな気持ちになるよう声かけをお願いします。大人も子どもも良いところもあれば短所もあります。短所ばかり責めると、子どもは自分が悪い子だと思ってしまいます。そうならないよう「「褒めて、認めて、励まして」いきましょう。この3点について、どうぞよろしくお願いします。

  では、4月にお子さんが元気に入学してくることを心よりお待ちしております。子育ては不安と苦労の連続です。いつでも担任に、学校に相談していただければと思っていますし、私たちも困ったら保護者の皆様に相談させていただくこともあると思います。保護者と一緒に歩んでいく鴻池小でありたいと思っています。なお、ホームページを毎日更新していますので、ぜひご覧いただき、少しでも不安な気持ちが解消できればと思います。

教育が成立する条件『信・敬・慕』

令和6年2月1日(木曜)

  担任はクラスのリーダーである。教えるものと教わるものとの間には、どのような条件が必要なのか。教育という営みが成立するには教育者と非教育者との間にどんな条件が必要か。「私の考える教育が成立する条件は『信・敬・慕』である」と述べるのは、「利他の教育実践哲学(小学館)」の著者 野口芳宏先生です。

  まず「信」、人は信用し、信用している人の言葉には耳を傾け、それに従うものです。しかし、不信感をもっている人の言葉には誰も耳を貸さないことになります。信用され、信頼されるためには、普段の行住坐臥(ぎょうじゅうざが)、一つ一つの小さなことが相手に納得されものでなくてはなりません。普段が大事になるということです。日常のありようが信を左右することになります。教師は、子どもから、親からも「信を得る」ことが何よりも大切になります。これらなくして教育は成り立ちません。信の字は、人偏に言と書きます。言葉が大切ということになります。偽りや虚言は信を失う大本です。言葉を慎み、口に出したことはその通りしなければなりません。信用も信頼もされないものに教育ができよう筈がありません。そして「敬」、信じられている、その上にもう一つ尊敬される必要があります。対等もしくはそれ以下の人から学ぼうとしません。優れている、たいした人だと敬服するからこそ、その人の言葉や行いに進んで近づき、学ぼうとします。敬されるためには、普段の学びによる普段の成長が欠かせません。常に謙虚な姿勢で己の不備や不十分に気づき、それを補い、高め続けている人は誰からも尊敬されます。最後に「慕」、慕わしく思うという心根です。これを生むのが人間として温かさであり、優しさであり、寛大さであり、明るさであり、おおらかさです。大事なのは教師の人間的な魅力なのです。慕の情が生まれれば、子どもは自然と聞く耳をもつようになります。

  教師は信じられ、敬せられ、慕われる。教師という立場は教えるだけの一方通行になりがちで、学ぶことを忘れがちです。人にものを教える以上は、自分が教えるに値する人間であるかどうかを、常に省みる必要があります。反省し向上を課さなくてはならないということです。