令和5年度12月【学校長の部屋】鴻池小

更新日:2023年12月25日

2学期終業式

令和5年12月25日(月曜)

  長い2学期も、ゴールの終業式を迎えることができました。合言葉、「失敗を恐れず『まずは、やってみよう!』」で2学期を乗り越えてきました。まだまだ真夏のように暑かった2学期の始業式に3つのお願いをしました。

  一つ目は、「自分から」です。「Be the first Penguin」の話をしました。最初に自分から進んでやるには勇気が必要です。でも失敗を恐れず、自分から進んで挑戦する人になりましょう。二つ目は「友だちや下級生から必要とされる人になりましょう」。そして、三つ目が「学習や行事に『本気』で頑張りましょう」の3つです。一つ目は、「自分から」です。2学期もたくさんの「自分から」の行動をする人をたくさん見ることができてうれしかったです。「自分から手を挙げて発表する子」「自分から挨拶をする子」「自分から進んで学習する子」「自分から進んでリーダーを務める子」「ものしり委員会やピカピカ委員会など、自分たちで考えて取り組む子」など、自分から行動する子をたくさん見ることができ、『笑顔があふれる学校』になりました。二つ目は「友だちや下級生から必要とされる人になりましょう」でした。「6年生がはじめてトラックリレーをする3年生にバトンパスを教えたり」「6年生が2年生に九九やかけ算を教えたり」「1年生が、来年入学する幼稚園児のために学校図鑑を作ったり」「ピカピカ委員会がPTAに協力したり、学校をきれいにするポスターを作成したり」「4年生と2年生、5年生と3年生、6年生と1年生の異学年交流で高学年が下の学年の子のためにがんばったり」と、鴻池小学校の皆さんが、友だちのため、下の学年のこのため、様々な人のために頑張った2学期になりました。三つ目は「『本気』で頑張る」です。「体育大会で見せてくれた本気」「学習で見せてくれた本気」「九九検定で見せてくれた本気」「『My読すごろく』で読書活動に取り組んだ本気」「音楽会で見せてくれた本気」、鴻池小学校の皆さんの「やってやる」を感じさせられた2学期でした。そして、「やればできる」を感じた2学期でした。

  今日、皆さんの頑張っている姿の一部を紹介しました。掃除や給食当番の仕事、係や委員会の仕事など、人のために、今、自分ができることを精一杯取り組む姿をたくさん見ることができた2学期でした。どの子も、毎日一生懸命こつこつ取り組む「本気」の姿を見ることができて大変うれしく思います。

  さて明日から14日間の冬休みです。楽しく充実した冬休みを過ごすために、3つのお願いがあります。一つ目は、「安全に生活をしよう」ということです。年末年始は、クリスマスやお正月など「心」もウキウキしてきます。道路での飛び出しや自転車に乗るときなど、交通事故に気をつけてほしいと思います。二つ目は、「あいさつをしっかりしよう」ということです。今年の年末年始は、お出かけしたり、お客さんが来たりする機会も少ないかもしれませんが、もしお客様にお会いしたら、しっかりした「あいさつ」ができる子どもでいてほしいと思います。三つめは、2学期の学校朝礼でもお話をしました「夢はでっかく、根は深く」です。夢や目標を決めましょう。これまでの1年を振り返り、大きな夢を持ってください。そして、そのために1年かけて深く根をはる、努力してください。『一年の計は元旦にあり』、1年のスタートに当たってしっかり目標設定をしましょう。

  それでは、1月9日に2024年の新たな目標をもった皆さんと会えることを、校長先生そして担任の先生、鴻池小学校の全ての先生が楽しみにしています。

運盛り

令和5年12月21日(木曜)

  今年の冬至は、2023年は12月22日(金曜)。冬至は北半球において、一年で最も太陽の出ている時間が短く、夜が長くなる日です。冬至の日を境に再び力が甦ってくることから、「太陽が生まれ変わる日」とも言われています。再び太陽の陽の力が甦るこの日は、陰が極まり再び陽にかえる日という意の「一陽来復」といって、運気が上昇に転じる日。また、今年のこの日は、十二支の寅にあたる日。虎は「千里を行って千里を帰る」ため、旅立ちに適している日とされ、「お金を呼び戻す」として財布の購入にもよいといわれています。その他、冬至には、運気が上がる「ん」がつく食べ物を食べるという風習が、日本各地にあります。この「ん」のつく食材を食べるのは「運盛り」と言って、「運」をさらに上昇させようと縁起を担いでいたのです。特に、「ん=運」が二つ重なる食材は、運気が2倍になって縁起がよいとされています。「ん」が2回つく食材7種類、なんきん(かぼちゃ)、れんこん、にんじん、ぎんなん、きんかん、かんてん、うんどん(うどん)を指して「冬至の七種」と呼ぶこともあります。昔は、冬に採れる野菜が少なく、冬でも保管できるかぼちゃは冬の大切な栄養源でした。かぼちゃはビタミンAやカロチンといった栄養素が豊富なうえに、長期保存が可能なかぼちゃは、冬の風邪や脳血管疾患予防をサポートしてくれるといわれています。実は、15日(金曜)の学校給食は、「冬至献立」でした。給食では「冬至の七種」の中から、「なんきん(かぼちゃ)、れんこん、にんじん、うんどん」の4種類の食べ物を使っていました。22日の冬至には、かぼちゃを食して、日野草城の俳句「うれしさよ柚子にほふ湯にずつぽりと」といきたいものです。

  さて、いよいよ来週火曜日から冬休みです。冬休みは、一年間の生活や出来事を振り返り、新年へ向けて新たな目標を立てるのによい時期です。心新たに新年を迎えるとともに、三学期、卒業、進学に向けての良い準備期間となるよう、有意義に過ごしてほしいと思います。

絵本とSDGs

令和5年12月15日(金曜)

  2015年9月にニューヨークの国連本部で行われた持続可能な開発サミットで「持続可能な開発目標」が全会一致で採択されました。世界共通の課題、略して「SDGs」、2015年から2030年までに、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。2030年まで、あと残り約7年です。

  そして、ESD(Education for Sustainable Development)、「持続可能な開発のための教育」と訳されています。今、世界には気候変動、生物多様性の喪失、資源の枯渇、貧困の拡大等人類の開発活動に起因する様々な問題があります。ESDは、これらの現代社会の問題を自らの問題として主体的に捉え、人類が将来の世代にわたり恵み豊かな生活を確保できるよう、身近なところから取り組むことで、問題の解決につながる新たな価値観や行動等の変容をもたらし、持続可能な社会を実現していくことを目指して行う学習・教育活動のことです。ESDは、小学校から大学に至るまでのすべての教育段階において推進されており、学習指導要領にもESDの目的である「持続可能な社会の創り手の育成」が掲げられています。小学校学習指導要領(平成29年3月公示)の前文では、「これからの学校には、こうした教育の目的及び目標の達成を目指しつつ、一人一人の児童が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる」とあります。そして、第1章 総則 第1小学校教育の基本と教育課程の役割の3において「豊かな創造性を備え持続可能な社会の創り手となることが期待される児童に、生きる力を育むことを目指すに当たっては、学校教育全体並びに各教科、道徳科、外国語活動、総合的な学習の時間及び特別活動の指導を通してどのような資質・能力の育成を目指すのか明確にしながら、教育活動の充実を図るものとする」とあります。

  本校では、6年生は、1学期に総合的な学習の時間に「平和についての思いを下級生に伝える」をテーマに修学旅行で学んだ戦争の恐ろしさや平和の尊さについて伝える活動を行ってきました。その他、6年生は、3学期に行う国語科「海の命」(立松和平 作)では、漁師の生活を通して、目標14「海の豊ゆたかさを守ろう」について学ぶことになっています。5年生は、総合的な学習の時間に「未来に目を向けよう~SDGsプロジェクトを通して~」をテーマに17ある目標の中から、子どもたち一人ひとりが選択した目標に沿って研究を進めています。そして、4年生でも総合的な学習の時間に「身近なところからSDGsを考える」をテーマに、3学期に学習することになっている。

  絵本の話が続きますが、水声社の「絵本で読みとくSDGs」の中で永田佳之さんが、目標4「質の高い教育をみんなに」の中で、新たな時代に求められる「質の高い教育」にとって重要なことは、数学や科学教育(理科)の充実など、経済や国家の発展に資すると言われてきた能力の強化が標榜されてきたが、持続可能性を想定した場合、何よりも重要なのは他者への想像力を豊かなに育むことであると述べられている。さらに、私たちに求められるものは、遠い国々の他者への、未来の他者への「人間ならざるもの(ノンヒューマンズ)」への想像力であり、それなくしてSDGsがめざす持続可能な社会の実現は覚束ないと言えると。筆者は、想像力を育むことになによりもまして大切に、ある出来事を仕掛けた一人のある校長先生について描いた「ヒラベッタイ・ザウルス うまれるよ」(文研出版)を紹介しています。このお話は、横浜市の公立小学校で実際に起きた「出来事」を元に校長先生自らが綴ったお話です。このお話のあとがきで、「あしたという日は、どんな日であるか、だれにもわかりません。しかし、『希望』を抱いていると、ときどき見えることがあるものです。『ヒラベッタイ・ザウルス』は、きっと、どこかに生きています」と結んでいます。まだ、読んだことがない一冊です。是非、読んでみたいなと思いました。

  絵本を読んで、感性を豊かに、そして想像力を働かせて、知らず知らずのうちに自分が絵本の中の主人公に、自分は何ができるかな?教科書や資料を使ってSDGsを学習することも一つかと思います。是非、心を動かす学びを子どもたちには経験してほしいなと思います。それが、子どもたちの生きる力に繋がっていくのではないかなと!

絵本と自己肯定感

令和5年12月5日(火曜)

  絵本の読み聞かせが子どもの感性を豊かにし、想像力を育てることは広く知られていることです。でも、効果はそれだけではありません。絵本の中では、奇想天外な出来事が起こります。例えば、「三匹のこぶた」のお話のように、臆病者の一番小さくて役に立たないと思われている末っ子が、知恵を働かせて上のこぶた達を助けます。子どもたちは主人公に自分を重ねて成功体験や達成感を味わうことができます。絵本の中でいくつもの主人公になりきって生き、自分がどうすれば幸せになれるかを考えることができます。その経験は、今生きる世界から、新しい世界へと発想の転換を可能とします。それは、自己肯定感に他ならないものと考えます。子どもへの絵本の読み聞かせは、自己肯定感を築いたり、社会性を高めたりするのに重要な習慣のひとつです。「やさしくしなさい」「思いやりの心をもちなさい」と、言われるより、ひとつのお話を見聞きすることの方が遥かに学びは大きいものです。そして、読み聞かせのたびに大人の愛情を伴いながら自信と自己肯定感を高めていきます。

  とっても懐かしい「しょうぼうじどうしゃ じぷた」(福音館書店)という絵本があります。「しょうぼうじどうしゃ じぷた」は、1963年に「月間こどものとも」で紹介され、1966年に第1刷が発行された50年以上愛されている名作絵本です。主人公の消防自動車「じぷた」は、消防署の中で一番小さく古いジープを改良した消防車です。大きくて立派な働きをするみんなは、いつも小さな消防自動車「じぷた」を「ちびっこ」あつかいしていました。大きな火事のときに活躍できないので、自分のことを、なんだかちっぽけで悲しい存在だと「じぷた」は思っていました。あるとき、隣の村の山小屋が火事になり、険しい山道に「じぷた」が出動することになります。狭い山道を走り抜けて、火事を消し止め山火事への発展を食い止めます。大活躍の「じぷた」を通して、子どもたちは、小さいからこそ活躍できる場があること、自分にしかできないことがあることを学びます。そして、「がんばれ『じぷた』!」と、ついつい応援したくなる絵本です。