令和5年度11月【学校長の部屋】鴻池小
音楽会、感動をありがとう!
令和5年11月27日(月曜)
21日(火曜)の児童鑑賞日に引き続き、23日(木・祝)には保護者鑑賞日として音楽会を開催いたしました!21日(火曜)は「子どもたち同士で鑑賞し合う」ことが目的でしたが、23日(木・祝)の音楽会は、保護者の皆様、地域の方々をご招待して、これまで子どもたちが取り組んできた成果を発表する場となりました。制限のない中での開催は、4年ぶりになります。保護者の皆様、地域の皆様にはご参会いただき、ありがとうございました。
1,2年生のとっては、はじめての音楽会となり、5,6年生にとっては小学校生活最後の音楽会となりました。子どもたちは、みんなどきどきしてこの日を迎えたことと思います。音楽が得意な子も、ちょっと苦手な子も、みんな努力して、そして心を一つにして、素晴らしい歌声、合奏ができるようになりました。音楽会に向けて、2つのことを大切にしてきました。一つは、「心一つに」です。「心一つにハーモニーを奏でる。心一つにやりきる」。そしてもう一つは「繋がる」です。演奏や合奏を通して、学年が一つに繋がることです。一人一人のよさを発揮しながら、友だちと協力し合いお互いに励まし合いながら、そして、お互いを認め合い、最後までしっかりと練習に励んできました。どの子も、音楽会が終わった後、「最後までやりきった」「自分の力を出し切れた」といった成就感や達成感をもつことができるような音楽会にしてほしいと願っていました。
保護者鑑賞日には、子どもたちの様子におもわず微笑んだり、合唱や合奏に聞き入ったりする保護者の皆様の姿から、それぞれの学年の子どもたちのよさを感じていただけたことが伝わってきました。2学期からはじまった音楽会に向けての練習では、それぞれの学年がめあてをもって練習を積み重ねてきました。その子どもたちの練習の成果に対するに皆様からいただいた大きな拍手は、子どもたちの成就感や達成感につながりました。本気になって取り組む子どもたちの姿には、大きな力とこれからの可能性を感じさせられました。また、この達成感は、子ども達だけでなく指導に当たった教職員、励ましてくださったご家族の皆様も心を一つにして取り組んだ、みなが繋がった成果と確信しています。音楽会を通して、子どもたちが得た自信や自己有用感が明日への活力となるよう、引き続き笑顔あふれる学校をめざして挑戦していきます。今後も変わらぬご支援・ご協力をお願いいたします。
もうすぐ音楽会
令和5年11月15日(水曜)
もうすぐ音楽会です。音楽会を前にして、授業中、教室や体育館から子どもたちの奏でる曲の音色が連日聞こえてきます。子どもたちの合唱や合奏を聴く度にすごいなと感心しています。音楽会が始まる1か月前から、体育館での学年合同練習が始まりました。音楽会に向けては、事前に楽器のオーディションを受けるために自主練習に取り組む姿がありました。音楽が得意な子ばかりではありません。それでも、子どもたちの「やってみよう」という前向きにチャレンジする姿をたくさん見ることができました。その姿は、音楽の授業だけでなく、朝休みの時間に先生と一緒に練習する姿や休み時間に練習を頑張る姿など見ることができました。子どもたちだけではありません。先生たちも、音楽会を成功させるために時間を縫って音楽室や体育館で、こっそりピアノの練習をしている姿を見ました。子どもたちと一緒に教師も素晴らしい音楽会にしようという気持ちが伝わってきました。音楽会に向けて駆け抜けた子どもたちと先生がいます。音楽技能の高まりはもちろんですが、一番に心の成長があったように思います。音楽会本番まで、1週間余り、ここからは、心一つに集中して取り組むことが大切です。2学期を締めくくる最後の大きな行事です。みんなの心を一つに表現してくれることを楽しみにしています。音楽会当日の子どもたちの奏でる合唱・合奏に、乞うご期待!!
心のへその緒
令和5年11月8日(水曜)
虐待により、幼い命が奪われる事件が後を絶ちません。虐待は、子どもの健やかな発育・発達を損ない、子どもの心身に大変深刻な影響を及ぼします。子どもの人権を守り、虐待を防止していくために、社会全体で虐待防止に関する理解を深めていく必要があります。令和4年度の児童相談所による児童虐待相談対応件数が公表されました。件数は21万9,170件で、前年度より11,510件(+5.5%)増え、過去最多を更新しています。
柳田邦男さんの「生きなおす力」(新潮社)の著書の中で、東京都内のある総合病院のそばにある母子サービス施設の光景、生後3ヶ月や6ヶ月などの赤ちゃんの定期健診に来た母子の様子について、どの母親も母乳を吸う赤ちゃんの顔を見ていない、それどころか全員が黙々と携帯でメールの確認や打ち込みをしていると。母親と赤ちゃんのつながりが携帯によって断ちきられている状況にあります。人間は便利さに弱い、生活の隅々までコンピュータ化が進んだ現在、心の習慣まで変えてしまっています。母親があたたかく包み込むアタッチメントがなくなっていると、赤ちゃんの心は育たなくなります。生後20ヶ月までに起こる赤ちゃんの心の中でおこる葛藤・退行・発達と成長のプロセスがある。赤ちゃんは、この世に生まれ出ると、次々に困難に直面する。痛い、かゆい、冷たい、熱い、おむつが汚れて気持ち悪い、空腹、喉の渇き、眠い、怖いなど、ことばで表現できない赤ちゃんは、自分で処理できない葛藤に直面すると、温もりと安心感のある懐かしい時期に逃げ込む、いわゆる退行を起こす。葛藤の感情は、「しがみつく」「泣き叫ぶ」「おこりっぽい」という形で表現する。これに対して、母親は、本能的にまたは直感的に赤ちゃんの葛藤や求めを理解して対処し、しっかりと目を見て温もりのある「抱きしめ」をしてあげると、赤ちゃんの心は、階段を一段階ステップアップするようにポンと一段階成長します。これを「一足跳び」といいます。心の成長は、ゆるやかに連続的に上昇していくのではなく、非連続的で母親の適切な対応によって混沌としたものを整える学びを獲得していきます。ところが、母親が赤ちゃんの求めるものを理解できずに、叱りつけたり、放置したりすると、赤ちゃんは恐怖を感じたり、ストレスを処理できないままになり、心をとじ、退行から再出発することができにくくなります。授乳中にテレビに夢中になったり、携帯でメールのやりとりに夢中になったりするのは、育児のネグレクトであり、虐待であると。小児科医の渡辺久子先生は、「子どもの心のへその緒は、3才になるまできれないのです」と強調されています。「抱っこ」や「抱きしめる」は、その一番の表現です。豊かなアタッチメントの経験が心とからだに染みわたってはじめて、他者に対する愛着の心が育ちます。「心のへその緒」は、3歳まで切れない、そして、「抱きしめる」ことは、子どもの心育ての”常備薬”だということを。
21世紀型スキル
令和5年11月1日(水曜)
ニューヨーク州立デューク大学のキャシー・デビッドソン大学院教授の「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」との発言については、あまりにも有名です。将来、今では考えられないような職業が生まれてくるということになります。
AIなどの情報技術が加速度的に進化する昨今。社会の変化はますます激しくなっています。このため、「社会の変化に主体的に対応できる子どもの育成」が求められているところです。変化の激しいこの時代に特に必要とされている能力が「21世紀型スキル」です。なかでも重要なスキルが「4C」と呼ばれるスキルです。子どもの能力を最大限に引き出す上で必要とされる最も重要なスキルと言われているものです。4つの「C」は、「Critical thinking(クリティカル・シンキング)」、「Creativity(クリエイティビティ)」、「Collaboration(コラボレーション)」、「Communication(コミュニケーション)」を指します。
一つ目の、「Critical thinking(クリティカル・シンキング)」は、既成概念にとらわれず考える力のことです。「何かを批判する」というというものではありません。文科省では、「多様な観点から考察する能力」と定義しています。物事を、「本当にそうかな」「なぜだろう」と、様々な角度から課題意識を持つことです。二つ目は、「Creativity(クリエイティビティ)」、これは、創造性のことです。これまで見たことのないような問題に対応するには、常識にとらわれずいろいろな方面から物事を見なければいけません。柔軟な発想をもち、創造力を発揮できる力をいいます。三つ目の「Collaboration(コラボレーション)」は、協調性のことです。互いに相手の意見や気持ちを尊重しつつ、他者と協働して一緒に解決していく力のことです。グローバル化が進む現代の社会では、お互いを尊重し合い、認め合い、いろいろな考え方を共有しながら協働できるスキルがますます求められます。最後、四つ目の「Communication(コミュニケーション)」は、意思疎通のことです。他の人とお互い理解し合い、自分の考えを相手にわかりやすく、明確に伝えることができ、さらに相手の伝えたいことを理解できる力のことです。
21世紀は、これまでの読み・書き・そろばんの教育から4Cのスキルを有した人材育成への転換が求められる時代になったと言えます。人それぞれに経験、知識、考え方など異なります。そのような人たちが集まって情報を共有し、課題の解決にあたる時代に来ています。みんなそれぞれに違いがあるからおもしろ。子どもたちに思いっきり動ける環境を整えることで、自ら積極的に動き、自ら考え、共感する喜びを子どもたちが味わうことができるものと思います。人と違うことの素晴らしさを子どもたちに伝えることで、失敗を恐れず何事にもチャレンジする子どもが育つものと思っています。
更新日:2023年11月27日