令和5 年度4月【学校長の部屋】鴻池小

更新日:2023年04月28日

こいのぼり

令和5年4月28日(金曜)

  『屋根より高い こいのぼり♪』、もうすぐ「こどもの日」です。1年生は、図工科の授業で「こいのぼり」を作りました。「こいのぼり」の絵にクレパスで色を塗っていきます。「ここは何色にしようかな?」といろいろ考えながら、うろこの模様に好きな色を塗って、自分のお気に入りの「こいのぼり」ができました。

  最近では住宅事情の変化のために、大きな鯉のぼりを家庭で見かけることは減ってきて、大きな川や池などにかけられたこいのぼりを見かけることが多くなってきました。春の一つの風物詩にもなっています。こいのぼりの「鯉」は、「龍門」と呼ばれる急な滝をのぼりきった鯉が龍になったという中国の故事に基づくものです。「龍門」は黄河の急流にある滝で、「登竜門」の語源にもなっています。こいのぼりの「鯉」を子どもに見立て、生命力のある強い子に、そしてどんな困難にも負けず出世して欲しいという願いが込められています。こいのぼりの色は上から黒、赤、青の3色ですが、こいのぼりの色は時代とともに変わってきたようです。一般的には、黒い鯉が父親、赤い鯉が母親、そして、青い鯉が子どもたちを表しています。しかし、最近では、緑やオレンジ、ピンクなどの鯉のぼりも見かけるようになってきています。時代とともに色も数も変化しているようです。また、真鯉の上を泳ぐ吹流しには青、赤、黄、白、黒の五色が使われています。吹流しには、「子を脅かす悪いものから守ってください」という意味があります。この五色は、古代中国に伝わる「五行説」に基づいているとされています。五色が揃うと「魔除け」に威力を発揮すると言われています。こいのぼりのように鴻池の子どもたちもすくすく成長することを願っています。

  そして、明日、29日(土曜)からゴールデンウィークが始まります。楽しい思い出を作りつつも、健康や安全に気をつけ、充実した日々にしてほしいと思っています。休み明けには、子どもたちが明るい笑顔でいろいろ話してくれることを楽しみにしています。

リフレーミング

令和5年4月26日(水曜)

  私たちが意思決定や判断をするとき、心理学でいう「ヒューリスティックス」、直感や経験則に基づいて判断するときがあります。「ヒューリスティックス」の語源は、「見つけた」を意味するギリシャ語の「Eureka」とされています。また、「ヒューリスティックス」とは反対の「アルゴリズム」というものがありますが、これは、計算によって論理的に解決する手順です。「ヒューリスティックス」の場合、必ずしも判断結果が正しいというわけではなく、一定のバイアスを含んでいる可能性があります。ただ、私たちは無意識のうちに「ヒューリスティックス」を使って判断していることがあります。例えば、少額の買い物をするときなど、これまでの経験則に基づいて、これまで自分が買ってきたものを選んだり、多くの人が選んでいるものを買ったりする場合です。その他にも「今日の昼食は何にしよう」や「傘を持って出かけようか」といった日常生活においては、直感や経験則に基づいて判断することがあります。日常生活においては、選択の連続です。いつまでも悩んでいるわけにはいきません。また、私たちの日常においては、選択肢の表現の仕方によって選択に影響する場合があります。これをフレーミング効果といいます。フレーミング効果の具体的な例としては、「コップに半分しか水が入っていない」と「コップにはまだ水が半分も入っている」では、後者の方が多く感じる人が多いと思います。「手術が成功して完治する可能性は90%です」「手術が失敗して死亡する可能性は10%です」と言っていることは同じですが、前者の方が明らかにいい印象を与えます。これをフレーミング効果といいます。フレーミングとは「枠組み」という意味です。対象を捉えている枠組みの見方、どこを強調するかによって問題の印象が変わり、意思決定に大きく影響する現象をフレーミング効果といいます。また同じ物事でも見方やとらえ方によって否定的な内容を肯定的な見方に変えることができます。これを「リフレーミング」といいます。コップの水の話をしましたが、コップ半分の水を見たときに、「もう半分しかない」と考えるのか、「まだ半分もある」と考えるのかによって、感じ方が大きく異なります。同じことであっても、どのように考えるのかによって感じ方が大きく異なります。「リフレーミング」で物事のとらえ方を変えてみると、新たな考えや前向きな気持ちをもつようになるものです。子どもとの関わり方の発想を変えて、良いところや得意なところを生かしていくのに役立ちます。また、子ども自身が「リフレーミング」をできるようになると、自尊感情が高まり気持ちにもゆとりが生まれ、物事が好転していくことにつながっていきます。自分の見方をプラスに変える意味でも効果的です。

主体性と自己肯定感

令和5年4月17日(月曜)

  セルフエスティーム(self-esteem)は自尊心、自尊感情、自己肯定感、自己有用感など、日本語に訳されています。日本セルフエスティーム普及協会では、「自己肯定感」という用語で捉えて使われています。自己肯定感とは「自分の存在そのものを認める」感覚であり、「ありのままの自分をかけがえのない存在として肯定的、好意的に受け止めることができる感覚」のことで、「自分が自分をどう思うか」という自己認識が自己肯定感を決定づけています。

  佐藤淑子さんの著書「日本の子どもと自尊心 自己主張をどう育むか」では、セルフエスティームは、対人関係に深く関わっているとし、さらに、対人関係だけではなく、人の様々な活動における達成動機(ある目標を立て、高い水準で課題を完遂しようとする)を支えるのもセルフエスティームだと述べられています。この「達成動機」と「親和動機」(他者との友好的な関係を確立し維持しようとする)は人の発達を支える両輪であるから、その両方のベースとなるセルフエスティームの重要性は疑うべくもありません。日本人は多くの場合、人間関係に配慮し「お母さんのため」に、「励ましてくれる先生のために」勉強を頑張るという傾向があります。仕事についても同様に「みんなのために仕事をする」ことが「仕事そのものの達成」より優先してしまうことがおきがちです。

  国際比較調査によって、日本人は欧米や中国・韓国に比べ、自分を肯定し有能であると考える子どもが少ないことが明らかになっています。子どもの自己評価だけではなく、日本人の母親は、アメリカ人の母親と比べて子どもの知的発達について厳しい評価をし、より高い知的発達を期待する傾向にあるとされています。一つには、人の能力の生得的な部分を強調せず、人の能力の可変性(努力すれば能力はどんどん伸びる)を信じているからだともいわれています。また、母親の評価規準が他者の評価規準に準じていることも指摘されています。褒めることについての日米比較でも褒められたり褒めたりするとうれしいことは2つの文化で共通していますが、日本人は、親しい人より親しくない人を、より褒める傾向があります。まして、母子の場合はその傾向が強まり、「いいお子さんですね」と褒めると、大慌てで「とんでもない」と否定するくらいです。イギリスでの子どもを褒める母親は、「ええ、彼は一生懸命にやりました。誇りに思うわ」とこたえるように、謙虚さが美徳とされる日本人の考え方と大きく違いがあります。また、筆者は、親や教師の子どもへの発達期待は社会や文化の価値を媒介し、物事をできるだけ高い水準で成し遂げようとする達成動機と、自己の存在を他者より低いものとみなす謙虚さという、本質的には相容れない2つの価値をあわせもついところが特徴的だとしています。たとえ高い水準で達成を遂げたとしても自己高揚感を長く味わうことなく再び自己を平準化するプロセスを辿ることになります。セルフエスティームをあえて意識することなく、周囲の人と折り合う対人行動スキルを身につけてきたと。しかし、今子どもたちに求められる力は、自分の頭で考え、はっきりと自分の意見を言えることであり、親もそのように願っています。謙虚さが賞賛される日本において、自分の考えを伝えることのできる主体性と自己肯定感をどう育めばいいのでしょうか。

  主体性とは、自分の意志や判断に基づき、責任を持って行動することです。これからの社会では、この主体性、「自分は何がしたいのか」「何ができるのか」と考えて行動することが求められるのです。子どもの失敗を責めるのではなく、「あなたの味方だよ」という親の温かい見守りが子どもの安心です。「失敗しても大丈夫」という安心感が自己肯定感につながり、「やってみよう」という子どものやる気を育てることとなります。

ピカピカの1年生

令和5年4月10日

  春の訪れを感じさせるこのよき日に、入学式を挙行できますことを教職員一同、本当にうれしく思っています。103名の子どもたちが入学してきました。入学、おめでとうございます。今日から鴻池小学校の1年生です。

  入学式では、入学をお祝いして、「あしたから1ねんせい」を読みました。絵本に登場するゆうくんのように「学校ってどんなところ」とドキドキしながら学校へやってきた人もいるかもしれません。でも、心配することはありません。優しいお兄さんやお姉さんが待ってくれています。いろいろなことを教えてくれると思います。1年生のみなさんは、あわてず、少しずつ学校生活になれていってください。そして、学校では、次の3つのことは自分で進んでやってください。

  一つ目は、「気持ちのよい挨拶や返事をする」ことです。

  二つ目は、「友だちと仲良くする」ことです。

  三つ目は、「いろいろなことにチャレンジする」ことです。

  入学式では、この3つのお願いをしました。「よく守って立派な鴻池小学校の1年生になりましょう」と声をかけると、子どもたちは、元気に「はい」と手を挙げてくれました。素晴らしい1年生です。

  保護者の皆様、お子様のご入学誠におめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。人生の中で初めてという体験は数多くありますが、はじめて学校に行くという体験は、特別だと思います。私たち大人でも、知らない世界に行くことは、不安なものです。子どもにとって、初めての学校、期待と不安がいっぱいのはずです。「友だちができるかな?」「勉強は大丈夫かな?」「先生は優しいかな?」「給食っておいしいのかな?」と、そんなドキドキわくわくの子どもたちを、ご家庭でも応援してあげてください。

  本校では、今年度「ひとみ輝き 笑顔あふれる 鴻池小学校」を学校教育目標に、「失敗を恐れず『まずは、やってみよう』」を合言葉に皆でチャレンジしてまいります。子どもたち一人一人がひとみを輝かせ、小学校生活をおくれるよう、そして、子どもたちの笑顔があふれるような学校になるよう職員一丸となって、全力を挙げて取り組んで参ります。そのためには、何よりも、ご家庭と学校が手を携えて、同じ歩調でお子様の教育にあたることが最も大切なことだと思います。お子様のことで、ご心配なことやお悩みなどがございましたら、どんな小さなことでも結構ですから、決して遠慮されず相談しながら進めて参りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

「ファーストペンギン」

令和5年4月10日(月)

 子どもたちの元気な声が戻ってきました。お子様の進級おめでとうございます。始業式の後、校内をまわっていると、どの学級もいい雰囲気で、子どもたちのやる気が伝わってきました。声をかけてくれる子どもや挨拶をしてくれる子どもなど、笑顔が学校にあふれていました。

  新しい学年がスタートしました。新しいスタートは、これまでの自分を変えるチャンスです。どの子も、やる気に満ちあふれているのを感じます。その気持ちを大切にしてほしいと願います。

  始業式では、「ファーストペンギン」の話をしました。「ファーストペンギン」とは、「勇気をもって行動する人」という意味です。ペンギンは、そもそも隊列を組んで氷上を移動したり、エサの魚を囲い込んで捕食したり、常に群れで固まり集団行動をとることで知られています。でも、餌となる魚を獲るために、一羽のペンギンが意を決して、最初に海に飛び込みます。そこにはシャチやトド、オットセイなど恐ろしい天敵が待ち受けているかもしれません。生命の危険を顧みず、真っ先に飛び込んだ勇気あるペンギンを「ファーストペンギン」と呼びます。そこから、ペンギンのように、リスクを恐れず初めてのことに挑戦する人のことを、敬意をこめて「ファーストペンギン」と呼びます。そして、その一羽が飛び込むことで安全を確認し、後に続いてペンギンたちは次々と海に飛び込んでいきます。

  学校生活においても、何か始めないといけないと思っている時、誰かが始めるまで待っている人はいませんか?それとも自分から始めてやろうと動けますか?また、クラスで誰かがしないといけない時、誰かが手を上げるのを待っている人はいませんか?様々な場面で「ファーストペンギン」になれるチャンスがあります。何か新しいことにチャレンジするときには、「ファーストペンギン」のように「行くぞ!」「やってやるぞ」と、失敗を恐れず挑戦すれば、仲間に進むべき道を示し、自分の新しい可能性を引き出すことができます。

  「失敗を恐れず『まずは、やってみよう!』」を今年も合言葉に挑戦できる人になってほしいと思っています。一人一人が「ファーストペンギン」になれば、きっと「笑顔があふれる学校」になると思っています。ここにいるみんなで「笑顔あふれる学校」にしていきましょう。

信頼される教師、学校のために

令和5年4月5日(水曜)

  新しい先生たちを迎えて校内では令和5年度がスタートし、新学期に向けて準備が進められています。

  4月4日には、先生方に対して、今年度の鴻池小学校のグランドデザイン(学校教育全体構想図)について説明を行いました。グランドデザイン策定にあたっては、学校教育目標の実現に向けて、学校の教育活動全体を視野に入れ、児童の実態、学校や地域の特性などを明らかにした上(学校評価総括表)で、全教職員が共有することが大切です。さらには、学習指導要領に示された「社会に開かれた教育課程」の理念に基づき、めざすべき教育のあり方を家庭や地域と共有し、連携と協働を深めていかなければなりません。そして、今年度もう一つ大切に取り組んでいくことは、未来を生きる子どもたちが、これからの社会を力強く、しなやかに生きていく力として『自己有用感』、『主体性』、『多様性(ダイバーシティ)』を指導の基本として取り組みを進めていきます。先行き不透明な社会にあって、社会の変化に的確に対応しながら子どもたちに必要とされる資質・能力の育成が求められています。学校という社会の中で、様々な人と関わりながら学び、その学びを通じて、自分の存在が認められることや、自分の活動によって何かを変えたり、学校(社会)をよりよくしたりできることなど、実感を持たせることが大切です。

  「人間は教育によってつくられる」、これはルソーの『エミール(岩波文庫)』の中の言葉ですが、教育の成否は子どもに直接携わる教師にかかっています。子どもたちや保護者はもとより、地域から信頼される教師にならなければいけません。

  信頼される教師の『信頼』とは、2つの部分から成り立っています。一つは『能力に対する信頼』です。そしてもう一つは『意図に対する信頼』です。『能力に対する信頼』とは、教師は、子どものためにしっかり成長させてくれる『技量』と『能力』を持っているという信頼です。よい教育のためには、優れた人格を伴った指導力を持つ教師が不可欠であると言えます。だから私たち教師は、日々研鑽し、人として、また指導者としての資質を高めていかなければならないのです。そして、『意図に対する信頼』とは、教師は、子どものためにならないことは決してしないという『意図』に対する信頼です。大切な子どもたちを預かる学校においては、一つの体罰という事案が学校・教育委員会という『組織に対する不信』につながります。『危機』に対する本質を見極め、正しい対処を明らかにすることが大切です。

  子どもたちの人格形成に関わる者として、豊かな人間性や社会性、常識と教養、礼儀作法をはじめ対人関係能力、コミュニケーション能力などの人格的資質を備えることが求められています。私たちは、『鴻池』というチームです。鴻池の子どもたちのために、チーム一丸となって同じベクトルで取り組んできましょう。それが信頼につながるものと考えます。皆で情報を共有し、皆で解決を図っていきましょう。