令和3年9月【学校長の部屋】

更新日:2021年10月25日

21世紀型能力

令和3年9月27日(月曜)

  国際化や情報化の進展など、変化が激しい時代にあって、いかに社会が変化しようとも子どもたちがこの先を生きていく上で必須の能力が「21世紀型能力」です。これは、国立教育政策研究所が、文部科学省の提唱する「生きる力」を育むための具体的な方向性として2013年に提唱したものです。

  学習指導要領の理念である「生きる力」の獲得を目的としたもので「基礎力」「思考力」「実践力」の三層から成り立っています。思考力を中核とし、それを支える基礎力と思考力の使い方を方向づける実践力の三層構造とし、実践力が生きる力へと繋がることをねらっています。具体的に「基礎力」は、言語・数量・情報を道具として目的に応じて使いこなす力のことです。従来の「読み・書き」「計算」に加えて「情報を扱う力」も必要な能力の中に含まれています。「思考力」は、一人一人が自ら学び判断し自分の考えを持って、他者と話し合い、考えを比較吟味して統合し、よりよい解や新しい知識を創り出し、さらに次の問いを見つける力と定義されています。新しいアイデアを生む問題解決能力、発見力、創造力、そして、その過程で発揮される論理的・批判的思考力、自分自身の学び方をふり返るメタ認知、適応的学習力などがそれにあたります。「実践力」は、日常生活や社会、環境の中に問題を見つけ出し、自分の知識を総動員して、自分やコミュニティ、社会にとって価値のある解を導くことができる力、さらに解を社会に発信し協調的に吟味することを通して他者や社会の重要性を感得できる力と定義しています。変化するこれからの社会を生きていく子どもたちにとって重要な能力となります。

  では、21世紀にふさわしい学校や学びはどのようになるのか。子どもの学びは一人で行うものではありません。友だちと一緒に行うものです。一人一人が自分の考えをもって対話し、自分とは異なる人の考えを知り、そこから新たな自分の考えを導き出したり修正したりとよりよい考えや知恵を作り出します。さらには、次の課題を見つけて学び続けること、それが「主体的、対話的で深い学び」です。ただ、形式的な対話型を取り入れた授業ではありません。子どもたちの学びの質の高い、そして深い学びを引き出すことをねらいとするものです。いろいろな教科で学んだ知識や生活で身につけた知識を関連づけたり、自分なりに解決策やアイデアを創造したり、自分の学びを深めていくことになります。授業を聞くだけではなく、自ら考え積極的に参加することが求められます。私たち教師も、まずは基礎を習得し、それを思考力によって活用し、実践に進むことで学習意欲が育つというように、学力の習得を段階的に捉えないことが大事になってきます。教師が「何をどのように教えるか」の視点から子どもが「どのように学ぶか」を重視する意識の変革が大切になります。絶えず、子どもたちにとって「主体的・対話的で深い学び」であるかを見直し、検討し続けることが求められています。

朝学習の徹底を!

令和3年9月22日(水曜)

  私たちは、一日の生活の中で得たさまざまな情報を睡眠によって整理しているといわれています。そして寝ている間に整理されることによって、朝の時間には脳の中にスペースが生まれ、新しい記憶を収めたり、想像力を発揮したりと適した状況になります。個人差はありますが、朝に学習すると効率がよく、定着も早いということで朝学習は十分に効果的だと言えます。

  2000年にOECDが実施した学習到達度調査(PISA)の結果によると、単なる知識の量だけでなくそれを活かして実生活上での課題を解決する能力は上位(2003年には、読解力が8位から15位に転落するといういわゆるPISAショックがありました)に位置する一方で、「宿題や自分の勉強をする時間」は参加国中最低であることが明らかになりました。この結果を真摯に受け止めて、文部科学省は2002年1月に確かな学力の向上のための2002アピール『学びのすすめ』を発表しました。その中で示された「確かな学力」の向上のための指導の5つの方策の1つが、放課後の時間などを活用した補充的な学習や朝の読書、始業前学習など、子どもたちが学ぶ習慣を身に付ける「学びの機会を充実し、学ぶ習慣を身に付ける」でした。ここから、放課後学習や朝学習がスタートしました。平成26年度の朝学習の実施状況調査によると、小学校の約75%が「繰り返し学習による基礎的な知識・技能の定着」や「一日の生活リズムの定着」、「学習習慣の定着」を目的に実施しています。

  鴻池小学校では、朝の10分間を朝学習の時間として、『基礎的な知識・技能』の定着を目的に実施しています。週に5日で50分、年間40週として、約40単位時間の学習を行えば、子どもたちに基礎学力をつける時間が十分に保障されることになります。昨年度の朝学習の取り組み状況については、89%の先生たちが、計画的に朝学習に取り組んだという評価を行っています。今年度の中間評価では、漢字、算数の計算、都道府県名暗唱、復習プリントなど、85%の先生たちが取り組んだという評価を得ています。

  家庭においては、朝ご飯の徹底を、朝食を抜くと学力が低下するとの相関性も出ています。学校においては、子どもたちが学習に向かうリズムと基礎学力の向上をめざして朝学習を徹底していきます。家庭と学校が車の両輪となって子どもの学びを支えていきたいものです。

秋がそこまで来ています

令和3年9月13日(月曜)

  暑さもやわらぎ、陽が沈むのも少しずつ早くなってきました。日本には日本独特の四季があり、暑い夏には、ふと食べたくなる冷たいそうめんやかき氷、暑い日を乗り切るための強い味方です。秋、暑さも和らぎ、過ごしやすくなり「〇〇の秋」といわれるように、スポーツや読書、芸術などさまざま楽しみがあふれる季節です。冬、気温が徐々に下がり、寒さを感じるようになると、あたたかい鍋が食べたくなります。春、生命の息吹を感じられる季節となります。日本人は生活の中で季節を感じ、暮らしと心を豊かにし、春夏秋冬それぞれの季節の特色を楽しむ文化があります。

  暑い夏が終わり、空が高くなり雲が綺麗に見え、空気が澄んでくると、中秋の名月、お月見の時期に来ます。今年の十五夜は、9月21日です。1年で最も美しいとされている「中秋の名月」を鑑賞しながら、収穫に感謝して月に見立てたものや収穫物をお供えするという風習もあります。また、日本には、古くから虫の声を楽しむという風流な「虫きき」が行われていました。 これは、日本独特の文化みたいです。「長き夜や かはりかはりに 虫の声」(作:加賀千代女)、マツムシやクツワムシの声は、街の中ではなかなか聞くことができませんが、リリリリリリ、コロコロコロと大きな声で鳴くコオロギの声はよく聞こえてきます。また、家でよく飼われているリーンリーンと音を奏でるスズムシの声などを聞いていたら心が和みます。秋の夜長、虫の声が聞こえたら、テレビ等の音を消して楽しむっていうのもいいものです。「コオロギが鳴いているね」とそっと教えてあげたら、子どもも虫の鳴き声に関心を持つかもしれませんね。ついつい新型コロナ感染防止に気を奪われて、季節の歩みを忘れがちですが、確実に季節は進んでいます。季節を味わうことを忘れずにしたいものです。

学びを止めない

令和3年9月6日(月曜)

  新型コロナウイルスのなかでも感染力が強いとされる「デルタ株」が猛威を振るい、子どもへの感染が増えています。これまでに経験したことのない感染拡大の状況にあるといえます。今後、臨時休業や出席停止等、やむを得ず学校に登校できない子どもが増えることが懸念されます。学校では、「学校に持ち込まない、学校内に広げない」を基本に、時差登校をはじめ、子どもの健康観察の徹底、感染リスクの高い活動をしない等、感染防止対策を講じているところです。国では、「やむを得ず学校に登校できない児童生徒へのICTを活用した学習指導等について」を令和3年8月27日に文書を発出しています。その中で、一定の期間、児童生徒がやむを得ず学校に登校できない場合などには、ICT端末を自宅等に持ち帰り、オンラインによる朝の会や健康観察で会話する機会を確保したり、ICT端末に学習課題等を配信することで自宅学習を促進したり、同時双方向型のウェブ会議システムを活用して教師と自宅等をつないだ学習指導等を行ったりするなど、登校できなくても学校と自宅等をつなぐ手段を確保し、児童生徒とコミュニケーションを絶やさず、学びを止めないようにする取組が重要であるとしています。学校では、6日(月曜)から毎日タブレット端末を持ち帰らせることにしています。タブレット端末を家に持ち帰って復習・予習に使うなど、文房具などと同じ「学用品等」として扱うことになりました。また、学級閉鎖や学年閉鎖等に備えて、各学年でスクールタクトやZOOM使ってのオンラインによる模擬授業が行われています。今後、オンライン授業が始まっても、スクールタクトを使っての先生からの指示を受けてZOOM参加することで、家庭でも学習を進めていくことが可能となります。

白銀の3日間!

令和3年9月1日(水曜)

  2学期がスタートして3日が経ちます。最初の1週間が大事とよく言われます。学級担任がクラスを組み立てる機会は年に3回、各学期のそれぞれ始めの3日間です。1学期最初の3日間を黄金の3日間といい、長い夏休みが終わった2学期は白銀の3日間といいます。長い休みモードから一気に学校モードへと切り替えをしなければならないため、1学期に次いで重要な3日間となります。「夏休みが終わった。2学期頑張るぞ」と、積極的な子どももいれば、「夏休みが終わった。もう学校が始まるのか」と消極的な子どももいます。両者の子どもたちがスムーズに学校生活を送れるよう、しっかり計画を立てて進めることが、2学期充実したものとなります。特に、生活規律と学習規律の確立を最重点にすることです。「朝の会・掃除・給食・終わりの会」の4つを丁寧に指導することが大切です。朝の会や終わりの会で時間が長くなるのはよくないです。短時間でテンポよく進めていくことで生活規律の確立がスムーズに確率していきます。

  始業式前に各教室を見て回りました。それぞれの先生が子どもたちを迎えるためにメッセージが黒板に書いてありました。一部を紹介すると、「みんなで一緒に頑張っていきましょう」やオリンピック体操選手の言葉を添えて「一日一日を意味ある2学期にしましょう」「やれることを見つけて、前に進みましょう」「笑顔いっぱいなハッピーな毎日にしよう」「なんでもチャレンジ」「新しい自分にレベルアップしましょう」、こんなのもありました「今日は来ただけでえらい!」。それぞれの先生達が子どものことを思い浮かべながら絵を添えて書いていました。新学期、子どもたちのやる気を引き出す言葉であふれていました。きっと子どもたちが教室に入ったとき、「さあ、がんばるぞ! 」という気持ちになったことと思います。素敵な言葉、メッセージをありがとうございます。2学期も、担任の先生と力を合わせて、楽しく学び合う学級をめざしてほしいです。