令和3年4月【学校長の部屋】
令和3年度がスタート!
令和3年4月2日(金曜)
令和3年度がスタートしました! 新しいメンバーも加わり新たな船出となります。一年一年を航海にたとえるなら、41回目の船出です。この先、荒波もあるでしょうが、皆で力を合わせて乗り越えていきましょう。
さて、スタートにあたって、以前にも記述しましたが「ゆでガエル理論」について再びです。ゆっくりと変化する環境の中では、その変化に気づくことなく、気づいたときには、手遅れになっているという理論です。危機や環境変化に対応することの大切さや難しさを戒めるたとえ話で、カエルを熱いお湯に入れると驚いて飛び上がります。でも、常温の水に入れて徐々に熱すると、その温度の変化に気づかずにゆで上がって死んでしまうという話です。現実にはないのですが、一つの教訓として定着しています。
人も動物も変化を嫌います。特に集団になった途端、より強く変化を拒絶するようになります。逆から考えると、「みんなと一緒だから安心」ということになるのでしょうか。行動経済学では、この心理作用を「現状維持バイアス」と定義しています。人は未知なもの、未経験なものを受け入れず現状を維持しようとします。
でも、学校は今、大きく変化しようとしています。教科書も大きく内容が変わっています。ICTの活用、一人一台の端末時代に入っています。このような状況の中で、これまでどおりではいけません。これから求められる授業とは、自ら課題を見つけ解決する能動的な授業を目指さなければなりません。そのために、授業の中で、子どもたちに考えさせること、対話することがポイントになってきます。そのアプローチの方法としてICTを活用する力が求められています。ポイントは3つです。「考える」、「対話する」、「ICTの活用」のこの3つをキーワードに、課題解決へつなげていくこと、そのような授業を仕組んでいかなければなりません。教師による一斉授業、暗記中心、知識重視の授業といったこれまでと同じ授業だけをしていたのでは、社会の変化に対応できません。私たちが変わらなければ、子どもたちに変化を求めることは難しいです。変化を恐れず、「まずは、やってみましょう」です。
不可能を可能とする奇跡の力
令和3年4月6日(火曜)
2019年2月に白血病判明から2年余り。2024年のパリ五輪への出場を目標に掲げて再起の道を歩み始めた池江璃花子さんが、日本選手権兼東京五輪代表選考会の女子100メートルバタフライ決勝で奇跡的な復活劇を披露した。白血病からの復活を目指し、プールでの練習再開から1年あまりで世界の舞台への切符を手にした。インタビューで「まさか、100で優勝できると思ってなかったですし、5年前の五輪選考会よりも、ずっと自信もなかった。自分が勝てるのは、ずっと先のことだと思ってたんですけど、勝つための練習もしっかりやってきましたし、最後は『ただいま』って気持ちで入場してきたので、自分がすごく自信なくても、努力は必ず報われるんだなと思った。このバタフライが一番時間がかかると思っていた種目。何番でも、ここにいることに幸せを感じようと思った」と声を震わせて語った。
専門医も池江選手の姿に感嘆の声を上げ、人間の持つ「可能性」を改めて感じさせた。退院後、1年余でトップアスリートの域まで回復するのは極めて異例だそうです。10ヶ月間の長期間の療養を経て退院、コロナ禍のなかで徐々に選手として、人知れず多くの涙を流したことでしょう。自信のインスタグラムで3月に「1年前の自分は、1年後、今こうして元気に選手権に向けて頑張ってる、なんて想像もしてなかったな。薬もたくさん飲んでたし、体も転んだら折れちゃいそうなくらい細いし、筋肉もないし」と当時を振り返って綴っている。彼女の類稀な「精神力」、そして人から愛されてやまない「人間力」は不可能を可能とする奇跡の力を秘めていました。
1年のスタートにあたって!
令和3年4月7日(水曜)
昨年度とは違う1年がスタートしました。中身も違う1年となるようにしていきましょう。
進級おめでとうございます。学年が一つ上がって担任の先生や友だちも新しく替わる人も多いと思います。今日の日をワクワクドキドキと迎えたことと思います。明日、行う入学式でかわいい1年生も92人入学してきます。令和3年度は、合わせて593人でスタートします。
一人一人のひとみがきらきらと輝いています。新学期を迎え、一つずつ学年が進み、「ようし、頑張るぞ」という目です。その気持ちを大切にしてください。学年や学級、先生や友だちが替わる4月は皆さんにとって大きな節目です。新しいことにチャレンジする、そして、新しい自分をつくりだすチャンスでもあります。チャレンジすれば何かが変わります。チェンジです。チャンス、チャレンジ、チェンジでいきましょう。
新学期にあたって皆さんに3つのお願いがあります。この1年間を通して皆さん一人一人に努力してほしいことです。先生たちみんなで、この学校を「ひとみ輝き 笑顔あふれる 鴻池小学校」にしようと考えています。
まず1つ目は、「合言葉『まずは、やってみよう』を実践しましょう」。ダメだと諦めるのではなく、まずはやってみましょう。ダメならやり直せばいいのです。
2つ目は、「たくさんの本を読みましょう」。本を読むことには、たくさんの効果があるといわれています。中でも、想像力が豊になるといわれています。想像力を働かせると、脳が活性化し賢くなります。月に読む本の冊数を決めてチャレンジしましょう。
3つ目は、「笑顔を大事にしましょう」。自分が大切にされていると感じたときに笑顔になります。それは、認められたり、ほめられたりしたときです。自分と同じように友だちもまわりの友だちから大切にされていると感じれば、その友だちも笑顔になります。そんな笑顔のあふれる学校にしていきましょう。
最後に続けてほしいことです。「あいさついっぱいの学校」にしましょう。みなさんは気持ちのよいあいさつができています。学校に来られた人が「鴻池の子どもたちはよくあいさつができますね」と言われるよう「あいさついっぱいの学校」にしましょう。
そして、皆さんのこれからの頑張りを全ての先生方が見ています。先生たちも笑顔のあふれる学校となるよう一緒に頑張っていきます。みんなですばらしい学校にしていきましょう。
『習う』『使う』『見つける』学習を!
令和3年4月12日(月曜)
今日から、いよいよ勉強も各学年進んでいきます。
新しい年度を迎えて多くの子どもたちが「頑張るぞ」と心に誓ったことと思います。この気持ちをずーっと持ち続けてほしいと思います。
さて、この「頑張るぞ」で大事なことは、何をどのように頑張るかです。この1年「何をどのように頑張るか」の目標を決めることが大切です。決めた目標に向かって頑張る参考になればと思い、学習とは何かについて、3つの話をします。
まず一つ目は、「習う」ということです。習うという漢字は、「羽と白」ですが、「白」はもともと「自分の自」です。この漢字は「鳥が何回も羽を動かして飛ぶ練習をする」という意味です。このことから「習う」というのは、先生から学習の基礎を教えてもらって、後は自分で繰り返し「練習」することなのです。勉強で大切なことは、基礎となることをしっかり身につけるまで何回も何回も繰り返し「練習」することです。
二つ目は、「使う」ということです。学校で学んだことを繰り返し練習し、身につけたなら、それを毎日の生活や勉強で「使う」ことが大切です。2年生は、かけ算を学習しますが、1・2年で学習した「たし算」がしっかりわかっていないと「かけ算」も分かりません。「かけ算」は「たし算」がもとになっているからです。このように勉強とは「学んだことを使う」ことの繰り返しなのです。
三つ目は、「見つける」ということです。「発見する」と言ってもよいでしょう。自分自身の力で「見つける」ことが勉強では大切です。この見つけるというのは、「何かないかな」と捜し物をするのとは違います。学習するときに問題を解くために「予想」をします。その「予想」は、今まで学習したことを頭の中で使ってみて、「こうではないかな」と「予想」をたてることです。その「予想」があっているかどうかを確かめていく。そして、その「予想」が当たれば「見つけた」ことなるのです。また、毎日の生活の中で、「みんなで仲良く、楽しく生活するにはどうしたらよいか」を考え、話し合うとします。そして、みんなで決まりやルールを決めることもあるでしょう。これも「見つけた」ことの一つです。自分で「見つけたこと」は皆さんの頭に心に、身体にしっかりと残るものです。この「見つける」ことこそが勉強の目標なのです。でも、一つのことを「見つけたら」、勉強は終わりではありません。その「見つけた」ことが基になり、次の新たな勉強が始まるのです。ですから、勉強に終わりはありません。私たちは、よりよくい起きるために生涯勉強を続け、いつも新しいめあて、目標に向かって努力し続けるのです。
『まかせる力』
令和3年4月14日(水曜)
ジャパネットたかた創業者の高田明氏と、元ジョンソン・エンド・ジョンソンの社長で、シェル石油、日本コカ・コーラ、フィリップスなど外資6社を経験した新将命氏の共著の「まかせる力」(SB新書)。高田氏は、2015年に社長職を辞し、息子にまかせてからも業績を伸ばし続けているジャパネットたかたの会社経営についての対談が記述されています。
事業承継に限らず、経営とは「まかせる」ことなんだということがよくわかります。人に任せることが人を育てるためには必要なことであり、謙虚に人から学ぶ姿勢があれば尊敬されリーダーとなることができます。逆に人に任せることができず、聴く耳を持たなかった場合、自信が過信になり、慢心へと進み、やがて傲慢になってしまう。傲慢の行き着く末は、破綻であるといわれています。常に謙虚さを持つことが大切です。
理念や原理原則は、不易流行の「不易」に当たり、英語では、コンスタントになります。経営者や社員に必要な2つの資質は、「マインド」と「スキル」で言えば、理念や原理原則はマインドにあたります。スキルは後でもついてきますが、マインドは、容易に伸ばせるものではありません。「三つ子の魂100まで」、人格や人間力は簡単には変えられません。理念は、「ビジョン」「ミッション」「バリュー」の3つが大切です。これは、経営学者として知られるピーター・F・ドラッカーが提唱した「企業の経営方針」です。
ビジョンは、将来において成し遂げたいと思っているゴールや目標などを手にしたい姿の構想や未来像のことです。ミッション(使命)は、経営ではその組織や個人が社会において果たすべき使命や任務のことをいいます。ミッションを正確に理解できれば、自分たちの仕事に意味を見つけ、実現したい正解のために、ゴールを設定して仕事に取り組めるようになるのです。「バリュー」とは、ビジョンやミッションに近づくための行動基準、行動をする際の判断基準になるわけです。ビジョン・ミッション・バリューがあることで、全員が同じ方向へまとまって向かっていくことができるようになるのです。
学校教育におけるミッション何か、そしてビジョンをもって具体的な行動・価値基準(バリュー)が明確となり、進むべき方向が明らかとなります。
そして、もう一つ、学校は、組織で動いています。先生一人ひとりの分掌に責任を持って動くことによって組織として動くことができます。失敗と成功を繰り返し経験することによって、人は成長します。新しい何かに挑戦することに躊躇したり、失敗を恐れたり、仕事を任せられない状態が続けば、成長することができません。教職員に任せることによって、教職員自らが仕事への自覚を持ち、任された仕事に対して、自ら意思決定ができる力をつけることにつながります。そのことは、強固な組織力をつくることにもつながるものと考えます。
『学校の顔』
令和3年4月15日(木曜)
1年生の皆さん、ようこそ鴻池小学校へ。13日(火)全校生で1年生の仲間入りを祝う対面式を開催しました。例年であれば、6年生と1年生が手をつないで全校生が待つ体育館で対面式を行うのですが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、1年生が2年生から5年生の用意した花のアーチをくぐって6年生の待つ体育館まで各階をまわってきます。各学年、1年生がやってくるのを今か今かと首を長くして待っている姿がとても印象的で、1年生がやってくると各学年温かい拍手で1年生を出迎えていました。少し緊張した面持ちの1年生が6年生とマスコットキャラクターの「こうくん」が待つ体育館へ入場してきました。6年生の代表から「ようこそ鴻池小学校へ、今日から1年生の皆さんは鴻池小学校の仲間です」と「歓迎の言葉」があり、1年生から「ありがとうございます」「よろしくおねがいします」とお礼の言葉がありました。この会を企画した6年生の皆さん、本当にありがとうございました。短い時間ではありましたが、この会を通じて、各学年一つ大きくなった子どもたちの姿を見ることができました。そして、何よりも6年生の子どもたちがよく頑張りました。6年生の1年生に優しい仕草や声かけに、学校のリーダー・顔としての自覚を持ち始め、その表情や態度に頼もしささえ感じられるようになってきました。6年生は、「学校の顔」と言われています。6年生を見ればその学校がわかるということです。これから様々な学校行事があります。それだけ、活躍の場も増えるということです。時には、リーダーとして、時には、縁の下の力持ちとして学校を支える、それは、最高学年としての「最高のチャンス!」「自分を成長させるチャンス」です。失敗を恐れず、何事にもチャレンジしていってください。
『素敵な言葉』
令和3年4月23日(金曜)
4月20日は、24節季でいう穀雨(こくう)、立夏までの春の季節も最後の時期となります。春雨が百穀を潤すことから名づけられたもので、雨で潤った田畑は種まきの好期を迎える時期に来ているということだそうです。変わりやすい春の天気もこの頃から安定し、日差しも強まってきます。昔から、この日を田植えの準備をする目安にしているようです。
学校では、この時期、まず学級のきまりや学校のきまりを徹底し、1年間を通して学習をしていくための準備期間でもあります。この時期を疎かにすると、今後の1年を後悔しかねない大事な時期です。しっかりと学習規律や生活規律をつけていきたいものです。
入学してきた1年生も少しずつ緊張もほぐれてきて、学校生活に徐々に慣れてきました。子どもたちの学習の様子を参観してまわると「校長先生」と元気に声をかけてくれます。また、毎朝門に立っていると、子どもたちが笑顔いっぱいで「おはようございます」と気持ちのよいあいさつをしてくれます。この一言が活力を与えてくれ、今日1日を気持ちよくスタートできます。
東京都荒川区にある道灌山幼稚園の元園長の高橋系吾さんの「その一言」という詩を紹介します。
『その一言で、励まされ その一言で、夢を持ち
その一言で、腹が立ち その一言で、がっかりし
その一言で、泣かされる ほんのわずかな一言が
不思議な大きな力を持つ ほんのちょっとの一言で…』
言葉はほんとうに不思議な力をもっていると思います。これからも、言葉を大切にし、素敵な一言が言えるようにしていきたいものです。
『いいたくない言葉』
令和3年4月28日(水曜)
大村はまさんは、「日本の教師に伝えたいこと」(筑摩書房)の中で、「まず『なになにしなさい』という言葉をやめるべき」だと言われています。「姿勢をよくしなさい」「もっと考えなさい」「勉強しなさい」「きれいに書きなさい」など、教師が願っていることを「なになになさい」という言葉をつけて子どもにいう、これは専門職の教師としてみっともないとまで言われています。「なになにしなさい」というのは、誰でも、みんな言える言葉で、教師でない人でも誰でも言えます。やらなければいけないことを、子どもに自発的に行えるようにするのが教師を仕事としている人の努めだと。「なになにしなさい」という言葉は、教師がいう言葉としては、大変らしくない言葉で、安易に使わないで、自然に子どもにさせてしまう人、そういう人が教育の専門家だといえます。ある意味、コーチング的な考え方でもあります。コーチングは、一方的な指示命令で相手を動かそうとするのではなく、相手の内側から湧いてくる動機によって自ら動く、その「内側からの動機」を引き出すかかわりです。「なになにしなさい」というような指示命令形の言葉を使うことなく、何か他の言葉に言い換えるとしたらどんな言葉があるかを考えることも教師の仕事の一つです。
更新日:2021年10月25日